絶倫すぎるホストとの甘くて激しい夜のお話

・作

王子様を待つのに疲れた綾の目の前に、突然現れたホストの煉(れん)。女の子に待ち合わせをすっぽかされた煉に誘われるがまま、家についていった綾は…。絶倫の王子様に、夜通し愛されイカされまくる、甘くて激しい夜のお話をどうぞ。

王子様なんて、居ませんでした。

いくら自分を磨いても。
沢山仕事を頑張っても。

残ったのは疲れた顔といつの間にか過ぎていく季節だけ。
女の子はお砂糖とスパイスと素敵な何かで出来てるんだっけ。
…“女の子”なんて歳、とっくに過ぎちゃったよなぁ。

でも「やっぱり、いつかは」って夢を見ていたかったけど。

月が美しい夜には、気持ちを共有する相手が欲しくて感傷的になる。

「良くない傾向!」

伊達におひとり様が長い訳じゃない。
こういう時の自分の甘やかし方だって完璧だ。

髪をほどいてメイクを直して。
鏡に向かって気合を入れて。

新宿のバーに着いた頃には、もう23時を回っていた。

「綾ちゃん珍しいね、終電間近なんて」

いつものねって言わなくても、ハイボールが出てくる。
指先が綺麗なバーテンの悠さんは、私の秘かなお気に入りだった。

「残業続きで疲れちゃったの…悠さんに癒して欲しいなって」

「僕で良ければ。でも、綾ちゃん僕の指以外興味ないしなぁ」

「そうそう。悠さんの指先本当に綺麗よね…」

くだらない話をどのくらいしただろう。
気が付けば24時を回っていた。

「綾ちゃん、今日は朝まで?」

「明日は土曜だしね」

そんな話をしていた時、カランカランと音がして扉があく。

「悠ちゃん、昨日ぶり」

ムーディーな店内にピッタリな低い声が響いた。

「あっ、煉さんいらっしゃいませ」

「悠ちゃん、俺待ち合わせなんだけど…ってあれ?」

煉さんと呼ばれた彼は店内を見回す。
整った顔に似合う仕立ての良いスーツ。

「煉さん待ち合わせ?」

「そうそう。あれ、おっかしぃなぁ。ちゃんと送ったのに…」

スマホをいじりながらカウンターに座る。
ふわっと柑橘系の香りがした。

顔が綺麗。
指が綺麗。
立っても座っても絵になる。

(あぁ駄目だ、私気になってる…。)

ホストなんて珍しくもないのに。
私は煉さんから目が離せなくなっていた。

「ん~姫ちゃん既読付かないなぁ」

「煉さんが振られるなんて珍しいですね」

「そういうこと言わないの。道に迷ってるかもしれないだろ…いや、絶対ないけどな」

「ですよね~この間来たばっかりだし」

(ホストでも振られるんだ…。)

何もかもが斬新だった。
私の視線に気が付いたのか、煉さんの瞳が私を捉える。

「…カッコ悪い所見せちゃったね」

目じりを下げはにかむイケメン。

「そっそんなこと!きっとすぐ来ますよ」

「ありがとう優しいね…んっと、何ちゃん?」

「あっ、綾です」

「綾ちゃんか。はじめまして。俺は煉」

「煉さんですね。よろしく…」

「綾ちゃんいくつ?俺28なんだけど、二十歳過ぎくらい?」

「私、25歳です」

「そうなんだ?若く見えるね」

「煉さんこそ」

煉さんは、お世辞抜きで28歳に見えなかった。

「綾ちゃん独りなら1杯付き合ってよ」

「1杯なら…」

思うに私は押しに弱い。
しかも、イケメンにも弱い。
そのうえ煉さんは指が綺麗だった。

(弱い所ばっかりじゃん…!)

気が付いたときには捉われてましたって、どんな罠だろう。

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