手の平で転がそうと思って大人しい幼馴染の家に上がり込んだ結果、私の方が組み敷かれてしまい…。 (Page 2)
私は今、毎日退屈している。
何不自由ない生活を送っている証拠だろう。
しかし暇は私にとってみれば最大の敵だった。
孝太郎の部屋には楽しそうな写真が数枚飾られている。
大学生になってからできた友達と写る姿は私には目に毒だった。
「充実しているみたいじゃない。大学生って暇そうでいいわね」
「彩加はどうしているの?」
写真の中に写る孝太郎に違和感を覚える。
隣に写る可愛らしい女性の姿が彼女だということは一目で分かってしまった。
「私は毎日を楽しんでいるわ。そろそろ彼氏と結婚しようかと思っているの」
そんな嘘を咄嗟についた。
私が孝太郎よりも下であることが許せなかった。
彼女は真面目そうで清楚な雰囲気。
きっと大学を卒業したら、このまま結婚するのではないか。
そんな嫌な予感が私の頭の中に駆け廻っていた。
「そうなんだ、じゃあ相談に乗ってくれる?」
「えぇ、いいわよ。どうせ恋愛のことなんでしょう?」
私は孝太郎から彼女の情報を聞き出していく。
嫌な予感というものは当たるもので孝太郎は彼女に夢中。
大学院に進学することをやめて、就職をしようと考えているらしい。
それはすべて彼女のため、研究職の道を諦めるということらしい。
「お父さんは孝太郎の努力をかっているのよ。劣等生だった孝太郎が大学院まで進んだら、きっと自分のことのように喜ぶと思うわ」
「でも俺は彼女のことが大切なんだよ。家庭を持ちたいって真剣に考えているんだ」
孝太郎にそこまで言わせる彼女が妬ましい。
決して美人でもなければ、特に秀でているわけでもない。
高値の花だった私よりも彼女の方がいいのだろうか。
「将来を考えるなら、焦るのは禁物よ。たった数年待てないような関係なら解消した方がいいんじゃない」
まともなアドバイスをしながらも私は虎視眈々と計画を練り始めていた。
*****
そしてそれから1週間後、朗報があった。
父から孝太郎が進路で悩んでいるという話を聞かされる。
私からアドバイスを貰い、大学院に進学しようと思っていると言っていたそうだ。
「そうだったの。孝太郎が恋愛に溺れているみたいだから忠告してあげたのよ」
するととんでもないことを父が口にした。
「彼女と一緒に大学院に進学するそうだ」
冷たい汗が背中にしたたり落ちる。
私は手を握りしめて感情を押し殺していた。
孝太郎は完全に私の手の届かない存在になろうとしている。
絶対に阻止しなければならない。
そんな感情が湧き出し始め、私は行動に移すことにした。
*****
数日後、私は孝太郎の家の前に張りついていた。
孝太郎はコンビニに出かけてから、10分ほどで帰宅。
私は偶然を装い、自然に孝太郎に微笑かけながら声を掛けた。
「孝太郎、お父さんから聞いたわよ」
私は薄着で薄らと雨に打たれた状態。
きっと優しい孝太郎なら私を家に招き入れるだろう。
「彩加、とりあえず入りなよ」
予想通りだった。
孝太郎は昔と何一つとして変わっていない。
何の疑いもせずに孝太郎は私を家の中に誘い入れた。
「突然の雨だったから、びっくりしたわ」
それは嘘、雨の日を狙っていた。
幼馴染である以上、私は孝太郎の好みは熟知している。
どんなに草食系の振りをしても所詮は男であることには違いない。
6月とはいえ、薄着で雨に濡れている私に発情しないわけがない。
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