桃は蘭に咲く (Page 6)
家のドアの前。
蘭が鍵を回す。
カチ、と音がして扉が開いた。
桃は入る前に、蘭の服を掴む。
「……蘭」
振り返った蘭が、少し笑う。
「なに」
桃は視線を逸らしたまま、小さく言う。
「……さっきの」
声が震える。
「ちゃんと……続き、して」
蘭の目がゆっくり細くなる。
「桃」
やさしく名前を呼ぶ。
「そんなお願いされたら」
小さく笑う。
「もう止まれないよ」
そのまま腕を引かれ、二人は部屋に入る。
扉が閉まる。
カチ、と鍵の音。
静かな部屋。
次の瞬間、桃の体が引き寄せられた。
体温が重なる。
「おかえり」
耳元で、低く。
桃の呼吸が揺れる。
「……ただいま」
蘭が少しだけ顔を離し、桃の頬を見る。
赤い。
蘭は楽しそうに笑う。
「ほんと」
「かわいい」
桃は答えられない。
ただ蘭の服を掴んだまま。
そのとき、蘭の指がそっと桃の腰に触れた。
ほんの少し、引き寄せる。
「あっ……」
小さな声が、思わずこぼれる。
桃は一瞬だけ目を伏せた。
でも次の瞬間、逃げない。
むしろ蘭の服を強く掴んで――
引き寄せた。
唇がぶつかる。
勢いのままのキス。
少し長く、少し乱れて。
蘭が一瞬驚く。
でもすぐに笑った。
「桃」
吐息まじり。
「大胆」
桃の呼吸はまだ乱れている。
蘭はその顔を見て、ゆっくり囁く。
「今日は」
声が低くなる。
「いっぱい甘えていいよ」
桃の息が、また小さく揺れた。
今夜はまだ――終わらない。
Fin.
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