桃は蘭に咲く (Page 4)
休憩室の静けさの中、蘭がそっと桃の頬に触れる。
視線が重なり、次の瞬間、唇が近づく。
触れるだけのはずのキスは、すぐに離れなくなり、桃は思わず蘭の服を掴んでいた。
唇が離れたあとも距離は近いまま。
「……んっ」
小さな吐息がこぼれ、蘭の指が桃の頬をなぞる。
「桃…かわいい」
囁かれる声に、桃は息を乱しながら何度も何度も唇を重ねた。
桃の心臓が跳ねる。
次の瞬間、蘭の指がそっと桃の手に触れた。
そのまま、ゆっくりと指を絡める。
桃の肩が揺れる。
「……桃ってさ」
蘭が少し顔を近づける。
「ほんと、えっちなキスするよね」
桃は言い返せない。
代わりに、指が少しだけ強くなる。
蘭はそれを見て、小さく笑う。
「そんな顔してると」
耳元で囁く。
「私のほうが我慢できなくなるんだけど」
桃の呼吸が一気に浅くなる。
「……蘭」
「ん?」
その瞬間。
蘭の指が、桃の手首をなぞった。
ほんの軽く。
それだけ。
でも――
「あっ……」
小さな声が漏れる。
桃は慌てて口を押さえる。
蘭の目が細くなる。
「今の」
少し笑う。
「かわいすぎ」
桃は真っ赤になる。
「……蘭のせい」
「うん」
あっさり認める。
「知ってる」
桃は何も言えない。
蘭は少しだけ顔を近づけて、囁いた。
「桃」
「なに」
「帰ったらさ」
声が低くなる。
「ちゃんと続き、しよ」
桃の呼吸がまた乱れる。
蘭はそのまま少しだけ離れて、くすっと笑った。
「そんな顔してると」
意地悪そうに。
「帰るまで持たないよ?」
桃は小さく息を吐く。
それから蘭の服をぎゅっと掴んだ。
「……じゃあ」
声が弱い。
「早く帰ろ」
蘭は一瞬だけ驚いて――
それから嬉しそうに笑った。
「うん」
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