オフィス・アフター・アワーズ (Page 5)
「すごい……感じてるな」
吐息まじりに囁かれ、美咲は首を振ろうとした。
けれど身体は正直だった。
震える腰が、無意識に彼の動きに合わせてしまう。
「……や、だめ……っ」
「嘘だな」
そう言って、橘はさらに深く、彼女の奥を突いた。
「っ……あ、あぁ……っ」
ベッドが軋み、シーツが指に絡む。
何もかもが熱く、甘く、痺れる。
橘の手が下腹に滑り込み、敏感な場所をそっとなぞる。
触れられた瞬間、美咲の身体がびくんと跳ねた。
「イきたい?」
耳元で、低く、甘く囁かれる。
彼女は答えられなかった。
ただ、呼吸を荒げ、身体を震わせるだけ。
そんな彼女を見下ろしながら、橘はさらに指を動かす。
ぐりぐりと、焦らすように。
「あ、あぁっ……!」
耐えきれず、美咲は声をあげた。
「いいよ。……イって」
その一言に、身体が限界を迎えた。
視界が白く弾け、熱が波のように押し寄せる。
背筋が弓なりにしなり、甘い声が喉からこぼれた。
「っ、あぁ……っ!」
絶頂。
すべてが、橘に溶かされていく。
そのまま彼も、深く沈み込んだまま震えた。
ふたりの身体に、じっとりとした汗が滲む。
けれど、それすら心地よかった。
橘はゆっくりと彼女から身を引き、
そっと彼女を胸元に抱き寄せた。
「……頑張りすぎるなよ」
耳元で囁かれたその声が、なによりも優しくて、思わず涙が滲んだ。
「……橘さんも、無理しないでください」
小さくそう返すと、橘は苦笑した。
「お前にだけは、そう言われたくない」
けれどその目は、どこまでも穏やかだった。
冷徹な上司の、誰も知らない顔。
それが、美咲だけに向けられている。
この夜を境に、ふたりの関係は、少しだけ変わっていくのだろう。
そんな予感を、静かに抱きながら、美咲はそっと橘の胸に頬を預けた。
眠りに落ちる寸前、橘の指が、彼女の髪を梳いていた。
それは、どこまでも優しく、温かい手つきだった。
Fin.
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