吐息が響く準備室、抗えない指先

・作

21歳の大学生・真白は、ゼミ担当の45歳の講師・笹原に密かに惹かれていた。柔らかな物腰と鋭い視線。その“触れない優しさ”にずっと心がざわついていた。ある雨の日、キャンパスの隅、誰もいない視聴覚準備室で――ふたりはついに、視線の境界線を越えてしまう。

大学の午後は、いつも眠たい。
けれど、笹原先生の講義だけは、なぜかいつも背筋が伸びる。

最初はただ、声がいいなと思っただけだった。
それが、話し方、立ち姿、資料のまとめ方、視線の送り方――ひとつずつ気づくたびに、気持ちがじわじわ染みてきた。
そのすべてに、“大人の余裕”があった。

声が低くて穏やかで、でも一度問いかけられると、逃げ場がなくなるような目をしている。
45歳。私とは24歳離れているはずなのに――その距離が、授業中はとても近く感じる。

「この場合、“観察される側”が無意識に変化していくことは、何を意味すると思いますか?」

不意に、先生の視線がこちらを捉えた。

「……真白さん」

咄嗟に名前を呼ばれ、胸がドクンと音を立てた。

「えっと……えっと……“視線”の力、ですか?」

「いいですね。そう、“見る”という行為そのものが、関係性を変えるんです」

優しくうなずく先生の声に、教室のざわめきが遠のいた気がした。
視線の力――
それは今、この人に対して私が抱いている気持ちにも、あてはまるのかもしれない。

先生は、私のことをただの学生として見ているのだろうか。
それとも、少しは――女として見てくれていたら、なんて。

「……真白さん?」

「あっ、はいっ」

「顔が赤いですよ。大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です。……すみません」

教室の空気が、少しだけ薄く感じた。
どうか、気づかれていませんように。
でも、もしも……気づいていたら――

そんな矛盾した願いを、私は胸に抱えて、ノートに意味のない線を引いた。

授業が終わったあと、私は一番最後まで席を立たなかった。
席を立ったら、先生に近づいてしまいそうで。
それとも、呼び止められることを、ほんの少しだけ期待していたのかもしれない。

バッグを肩にかけながら、私は心の中で何度も呟いた。
“好き”って、言いたいわけじゃない。
ただ、もう少しだけ――見ていてほしいだけ。

ほんの少し、目が合うだけで一日が変わる。
それって恋じゃないなら、いったい何なんだろう。

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