甘い香りに堕ちて
静かな夜アロマが満ちる個室で再び出会った彩花と涼。忘れたはずの熱が甘い香りとともに蘇る。背徳に揺れる心と身体が求め合い、理性は静かにほどけていく。止められない想いが夜の闇に溶けていった
個室のアロマサロン。
照明は落とされ、ほんのり甘いバニラとウッドの香りが静かに漂っている。
施術ベッドの横に立つ私——彩花は、深く息を吸った。
ここに立つのは毎日のことなのに、今日は手が少し震えていた。
「……久しぶり」
不意に聞こえた声。
振り返らなくても分かる。胸の奥で、嫌でも名前が浮かんでしまう。
涼。
数年前に別れた恋人。
そして、「相性が良すぎて壊れた関係」の記憶の中心にいた人。
「予約の名前見て、もしかしてって思ったけど……本当に涼だったんだ」
入口に立つ涼は、前と変わらず人懐っこい目をしていた。だけど、雰囲気はずっと落ち着いている。
大人になった、というより…深まった、という方が近い。
「……久しぶり。こちらへどうぞ」
仕事の声を作って案内する。けれど心臓はうるさいほど鳴っていた。
涼がベッドに横になる。その姿を見下ろす距離が、妙に近い。
「……あの頃も可愛かったけど、大人になってよりきれいになったな」
突然の言葉に、息が止まった。
「もう…誰にでも言ってるんでしょ」
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