甘い香りに堕ちて (Page 5)

「彩花…もう…いいか?」
「…うん、きて…」

涼は彩花の子宮までゆっくりと焦らすように侵入していき、施術台の上、二人の影が一つに重なる。
「はぁっ…んん…涼ぉ…」
「彩花…」

照明は柔らかく、輪郭だけが淡く滲む。
背徳の夜は、誰にも見えない場所で静かに熱を孕んでいく。

2人は離れた時間を埋めるかのように激しく愛し合い、求め合う。

「んっんっんっ、気持ちいいっ…」
涼は彩花に腰を打ちつけ、そのリズムに合わせて声を漏らす。
ぎゅっと、抱き合う。互いの鼓動がひとつに重なる。
気付けば足を涼の身体に絡めて、少しも離れないように涼を求めている。

動きが加速していく。彩花は涼が何も言わなくても理解していた。
「彩花…っ…」
「いいよ…きてっ…」

「あああっあっ!」

びゅっ、びゅる、びゅるっ……!
彩花のお腹が燃えるように熱く脈打ち、2人は溶け合って果てた。
膣穴から垂れ出す白濁液。ヒクヒクと痙攣する身体。

ぎゅっと抱き合ったまま、二人は動かなかった。
沈黙が、部屋いっぱいに広がる。
聞こえるのは、重なった鼓動の音だけ。

ほんの数秒のはずなのに、永遠みたいに長く感じた。
彩花の胸の奥を、幸福と痛みが交互に撫でていく。
手の中の温もりが愛おしくて、
同時に——怖かった。

涼の腕の力が、少しだけ強くなる。
何も言わないその沈黙に、いくつもの感情が混ざっていく。
懐かしさ、安堵、後悔、そして、
どうしようもないほどの、愛。

世界が静まり返っても、
この瞬間だけは、生きていると感じられた。

彩花は目を閉じ、涼の呼吸を胸の奥で数えた。
触れていること自体が、答えになっていく。

「……離れたくない」

涼は返事の代わりに、額へ、頬へ、そしてまた唇へ、ゆっくりと触れた。
たしかめるたびに、過去の痛みが少しずつほどけて、今の温度に置き換わっていく。

ほんの短い沈黙。けれど、その沈黙には、二人がこれから背負うものが静かに横たわっていた。
誰に見せるわけでもない合図が交わり、呼吸が深く落ちる。

今夜は、決して綺麗な物語じゃない。
だけど、嘘のない夜だ。
背徳だと知っていても、止められなかった。止めたくなかった。

——二人は、そっともう一度、唇を重ねた。

Fin.

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