指が性感帯だと教えてもらっちゃった話
指がきれいな憧れの同僚、ケンさんとバーに行ったユキ。彼は「指って性感帯なんだよ」と言い出し、人前でユキの指を気持ちよくしてしまう。すっかり指の気持ちよさに目覚めてしまったユキは、スーツのままでケンさんの指をしゃぶり出して──?ちょっとだけアブノーマルな、楽しいエッチのお話。
中指をぬるりと舌が包み込む。ひっ、と声をあげると、ケンさんはニヤリ笑った。
「指舐められんのはじめて?」
「そ、そうです……」
「へへ。ユキちゃんのはじめて、もらっちゃった」
ケンさんの舌がぬるっ、と私の手のひらに触れる。ぞくぞくぞくっと湧き上がる気持ち良さに震えていると、彼はゆっくり中指を舐め上げた。指の腹、内側の方をツツ~ッ……と、なぞるように。
こんなのはじめてだ。指が気持ちいいなんて、考えたこともなかった。──バーのカウンターでこんな風になることも。小さな椅子に座っている私のお尻がキュッと反応してる、たぶん、濡れてる。ケンさんはその私を満足そうに見て、ちゅぽっ、と指を口から離した。
「こんな感じ」
「……すごい」
「ネイル落とすともっと気持ちいよ。爪の表面にだって、感覚がある」
「ケンさん、なんかエッチ」
「エッチな話だもん。ねえ、ユキちゃん」
美しいバーの明かりを背に、その男が微笑む。いつもボールペンを回す指がスッ、と美しく立ち上がり、私の前に突き出される。まるでダンスのパートナーに手を差し出すように。
「ユキちゃん、行こう。この指がどんなふうに動くか、知りたくない?」
*****
ケンさんは職場の先輩だ。体格が良くて、面倒見がいい。そして明るい性格で──だから、好きになった。私はいつもそういう、みんなが好きになる人を好きになってしまう。
特に好きなのは彼の指だ。ごつごつして骨張った、大きな手から伸びる五本の指。ふしくれ立っていて硬そうで、格好いい。転職前は現場仕事をしていたのだと聞いて、なるほどと思った。
二次会に向かう群れからはぐれたな、と思ったら、バーに誘われた。ついて行った先で、ケンさんがバーテンダーの指を見てこう言い出したのだ。
「指って性感帯なんだよ」
「……ええ?」
「あの男、そっち系。指でエッチする仕事人」
「エッチの時に指をよく使うってことですか?それならなんか、わかるかも」
「そういう奴の指って独特の形になるんだよな。中指が長くて、ほっそりして」
ちょうどよく、バーテンダーが私の前に飲み物を置く。思わず目を逸らす私に、ケンさんはけらけらと笑った。
「ごめん、セクハラだな。こんな話」
「ちょっと興味はありますけど……。指が性感帯?触られる方がじゃなく、触る方が?」
「ユキちゃんピアノやってたでしょ。手、貸して」
「よく分かりますね」
「ピアノは関節の開き方が独特になるんだ。中指出して、そう、俺の方に向けて」
「……なんか、やだ」
「そう、これだけでわりとドキドキするでしょ?」
みんながいる中で指を立てるなんて、悪いことをしているみたいだ。ケンさんは私の中指にそっと触れ、つうっと撫であげる。
「わ」
「内側の感覚のが強いから、外からやるんだ。そうっと撫でて……」
「ひっ……ケンさん、これ……」
「きれいな手だ。よくハンドクリームが塗り込まれた、艶のある手。内側はなで下ろしてみようか」
「うっ、うわっ。あ……ちょ、これ」
「思ったより感じるだろ?」
「……明日から手を出して歩けないかも」
「かわいいこと言うじゃん」
そう言うとケンさんはなんの前ぶれもなく、私の指を口に含んだ。驚きと快感で悲鳴をあげそうになり、私は口を抑える。ぬるり、敏感になった指先が喉の奥に当たる。大きな舌が指を包む、気持ちいい、気持ちいい。
……そのときにはもう、私は落ちていた。ホテル行こうって言われたら、絶対ついていこうって思ってた。
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