雪の密室で、名前を呼ぶ (Page 3)
――こんな感情、知らなかった。
遼の指先が肩から腕へと滑るたび、紗耶の肌はかすかに震えた。
熱い。なのに冷たい風が吹き抜けたように、身を切るほどの感覚。
彼女の身体が、心が、ゆっくりと崩れていくのがわかる。
「……どうして、そんなふうに触れられるの」
掠れるような声で問うと、遼は小さく笑った。
「先生が、ずっと誰かにそうしてほしいと思っていた気がしたから」
言葉に、喉が鳴る。
どれだけ強がっても、誰かに見抜かれてしまえば脆い。
それが、紗耶という女だった。
彼の手が、シャツのボタンにかかった。
指先が丁寧に、慎重に、しかし迷いなくそれを外していく。
一つ、また一つ。
風に晒された肌に、彼の吐息がふわりとかかった。
その熱が、じわじわと身体の奥にまで届く。
「恥ずかしい……のに」
そう言いながらも、紗耶の手は遼の背中に回っていた。
理性が、羞恥が、次第に後退していく。
代わりに、彼の熱を、重さを、もっと感じていたいと願ってしまう自分がいる。
「やめてほしいなら……今のうちです」
低く落とされた声に、首を横に振るしかできなかった。
やめてほしいと、本気で思っていないことに、紗耶自身が一番驚いていた。
シャツが脱がされ、肌が晒される。
そのたび、彼の目が彼女のすべてを包み込むように見てくる。
いやらしさも、貪欲さもなく、ただ――慈しむように。
「きれいです。こんなに美しい人が、どうして一人でいたんだろうって思うくらい」
「お世辞……は、上手なのね」
「本気ですよ」
ぽつりと落とされたその声が、胸の奥を撃ち抜いた。
彼が何を考えているのか、わからない。
でも、ただの遊びではないと信じたくなる何かが、確かにあった。
ソファに押し倒されるようにして横たわると、彼が上から覆いかぶさる。
まだ細く未成熟な身体のはずなのに、その熱と重みは、じゅうぶん男だった。
「……先生のこと、ずっと見てた」
囁きとともに、くちびるが胸元に触れる。
熱い、と思った瞬間、そこを甘く吸われた。
声が漏れるのを、手で押さえる。
でも、それを遼はそっと取りのぞいた。
「声、我慢しなくていい。誰もいませんよ、ここには」
静かな山荘。外は雪。
この密閉された空間で、ふたりの温度だけが高まっていく。
彼の舌が、ゆっくりと紗耶の肌をなぞる。
胸の先を口に含まれるたび、背筋が甘く震える。
「感じてるんですか……?」
そんな言葉に、思わず瞳を伏せた。
でも、それが返事だった。
遼の手が、紗耶の腰に回り、下着に指をかけた。
「――ここまでして、先生は俺を拒めますか?」
その問いに、もう答えられなかった。
拒む理由も、資格も、とうにどこかへ消えていた。
いい年して
年下の僕ちゃんと初体験なんて作り話にもほどが有る
るい さん 2025年10月9日