白百合の秘めた時
お嬢様学校に通う女子大生の葵と美咲。幼馴染で長い年月を共にしてきた二人は、周囲には秘密で交際を続けている。共に成人を迎えた二人は、その記念にと旅行へ行き、宿泊先のホテルで二人きりの濃密な時間が始まる。
百合が形どられた青銅の門を潜り、様々な花が咲き誇りたくさんの木々が植えられた道を歩くと眼前に現れる、まるで白亜の城のような校舎。
この学校は5本指に入る名門女子大、いわゆるお嬢様学校だ。
そこに通う葵と美咲は幼馴染で、幼稚園の頃から共に育ってきた。
あまりの仲の良さに、周囲からは気の合う双子のようだと暖かく見守られている。
しかし、二人はただの幼馴染、友達ではなく中学生の時から交際している恋人同士。
周囲に隠しながら、静かに密かに日々仲を深めていっている。
そんな二人が成人を迎えた春のこと。
二人は心配する美咲の過保護な両親を説得し、成人記念旅行を決行した。
「葵ちゃん!初めての二人きりの旅行だね!」
「そうだね、美咲のお父さんとお母さん、めちゃくちゃ渋ってたけど…私達も、もういい大人だし二人っきりで過ごす機会、増やしていきたいね」
「うん!また葵ちゃんのマンションにもお泊り行きたいなぁ」
「いつでもおいでよ。両親も海外で仕事だからほとんど帰ってこないし。…もちろん、寝かさないけど」
「もー!すけべなおじさんみたい!」
「美咲も期待してるくせに〜」
終始笑いが絶えず楽しく会話をしながら観光地を巡り陽が落ちた頃、二人は目的のホテルへ辿り着いた。
豪華な洋館のような外観に内装も煌びやかなシャンデリア、ロココ調のインテリアで彩られた高級ホテル。
美咲の趣味で選んだものの、中性的でモノトーンで纏めることの多い蒼も豪華ではあるが上品さが保たれたそのホテルに思わず小さく感嘆の声を零した。
チェックインを済ませて予約した部屋へ入ると、隅々まで拘りの行き届いた内装と大きな窓からの眺望に自然と高揚する二人。
「すっごい夜景綺麗だね!宝石箱みたい!」
「本当……こんなに綺麗な夜景…美咲と見られて良かった」
「っ…葵ちゃん……私も葵ちゃんと見られて、すっごい幸せ」
互いにはにかみ笑みながら、どちらとなく重なる唇。
幾度も触れては離れ、そしてまた重なり合い、次第に口付けは深くなっていく。
葵は美咲を窓際に設置されたソファへ口付けを続けながら導き、ゆっくり宝物を扱うように優しく押し倒して覆い被さった。
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