草食動物の逆襲

・作

彼女である実里が頻繁に通っている花屋に勤める心優しい樹は、いわゆる草食系男子。恋人同士の営みがあまり積極的ではない彼にもどかしさを感じた実里は、ある日樹を本気にさせようとけしかける。

「ひまわり3本くーださい」

「はい、少々お待ちください」

会社が休みの土曜日の昼下がり、すっかり常連になっている花屋へ。
指定した花を選別し、特に美しいものを包んでくれた。

目の前にいる清潔なシャツに身を包み、緑のエプロン、細縁の眼鏡をかけた黒髪の店員は私の恋人の樹。
物静かで優しく、窓際で読書をしているようなタイプ。

いわゆる、草食系男子と呼ばれるたぐいの人。
だから、とても奥手で夜の誘いもいつも私から。

照れる様子が可愛いけれど、たまには強気に攻められたい。
そんな思いが増したある日、今までとは違う彼を見ることになる。

*****

「あっ、樹おかえり〜」

「ただいま、実里さん……いい匂い…シチューですか?」

「そっ!美味しくできたから早く食べよう!」

「楽しみです。いつもありがとう」

同棲している私たちは家事を交代で分担していて、私が料理を作った日はいつも嬉しそうに美味しそうに完食してくれる。
今日もそんな楽しい食事を終え、一緒にお風呂に入ろうと誘って…でも、いつものように真っ赤な顔で断られて…。
寝るまでの間、二人でまったりと過ごしていた。

けれど私はこの日、何故かいつも以上に抱かれたい思いに駆られていた。
スマホをいじる私の横で、おとなしく読書をする樹。

横目で彼を見るたび、ちょっかいをかけたい思いが増していく私。
ついに耐えきれず、私は樹と向き合うように膝へ跨った。

「っちょ!…な、なにしてるんですか?!」

「樹がずーっと本読んでるから退屈!」

「実里さんだってスマホいじってたじゃないですか!」

「樹が本読み始めちゃったからだよ〜」

「だ、っ…だって…ちょ、ちょっと、やめ…っ…」

真っ赤になって慌てる樹をよそに、私は彼の首筋を辿るように口付けては舌を這わせていく。
シャツのボタンを全て外し、胸板を撫でながらその先端に唇を寄せる。

樹が私の肩を押してやめさせようとしてくるけれど、押す力が優しくて私でもびくともしない。

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