追憶ラプソディ
高校を卒業して2年目の春、偶然街で再会した学生時代の先生。それは私の初恋の人。今も変わらない先生に、止まっていた初恋が再び動き出す。『もう、大人になったよ』2人を隔てる壁がなくなった今なら、私を愛してくれますか?
これは、長い長い片思いの最後の日の物語。
*****
夕暮れの街で一際輝いて見える、忘れもしない私の初恋の人。
『先生!吉沢先生!』
「ん?佐伯‥か?久しぶりだな。元気にしてたか?」
『うん!毎日仕事頑張ってるよ!先生は?』
「俺ももう新米教師じゃなくなったし、慣れてきたもんよ」
私が高校1年生の時に着任してきた吉沢先生。
教師1年目。
他の先生より生徒と年が近くて、明るくて、カッコよくて、優しくて、恋に落ちるのはすぐで…。
周りの友だちが同級生や先輩に恋する中、私の恋心は3年間いつだって吉沢先生にだけだった。
先生と生徒の恋なんて叶うわけがないって頭ではわかっていたけれど、時々気持ちが溢れ出した。
学生時代、何度か勇気を出して思いを伝えたけれど、本気だって受け取ってもらえなかったなぁ…。
甘酸っぱくて、叶うことのなかった私の淡い初恋。
『先生、今から時間あるの?』
「今から?もう今日は学校も終わったし暇だけど」
『彼女とデートとか…約束してないの?』
『彼女?いないいない。今は仕事一筋だから』
“今は”か…。
こんなかっこいいのに、彼女がずっといないわけないよね…。
先生が私以外の人を愛していたんだと思うだけで、胸が締め付けられそうになる。
あんなに好きだったんだから。
たったの2年なんかじゃ忘れられるわけないよ…。
『じゃあ夜ごはん食べに行こ?お酒奢ってほしい』
「お酒って、未成年がお酒なんて飲んじゃいけません」
『いつまでも子供扱いしないでよ。先月の誕生日で20歳になったの。私、もう大人になったよ』
「そっか。じゃあ今夜は今更だけど就職祝いに奢ってやるよ。今日だけだからな」
『うん、ありがと!先生』
決めた。
今日、もう一度、先生に好きだって伝えよう。
叶わなくても、知ってほしい。私の気持ちは変わってないよって。
「せっかくのお祝いだし、最近見つけたいいお店に連れてってやるよ」
*****
先生が連れてきてくれた個室のおしゃれな居酒屋さん。
こんな素敵なお店、まるで私を特別扱いしてくれているのだと勘違いしたくなってしまう。
お互いお酒が入り、思い出話に花が咲いて、ひと段落したところで私は大きく呼吸を吸って言葉を紡いだ。
『今日は先生に言いたいことがあるの』
「なんだよ、改まって」
『先生、私のことどう思う?』
「どうって、可愛い生徒だなって」
『今も?それだけ』
「それだけじゃ不満か?」
『私、先生が好きなの』
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