追憶ラプソディ (Page 2)
一瞬目を丸くした先生だったけれど、すぐに平常心を取り戻したかのように、いつもの表情で言葉を続けた。
「俺も、生徒みんなのこと大好きだぞ」
『そうじゃない、違うの…先生ほんとはわかってるんでしょ?その“好き”じゃないって』
「うん。わかってる。けど」
『けど?』
「いいのかなって。元教え子に手出すの」
『卒業して私ももう子どもじゃない。誰も何も言えないでしょ?』
「そっか…。佐伯に好きって言われて、俺いま結構嬉しいんだけど」
『ほんとに?』
「ほんと。すっげぇ嬉しい。俺も多分、佐伯と同じ“好き”」
『うそ…ほんとに?お酒に酔ってるからとかじゃなくて?』
「俺はお酒強いからこんくらいで酔わない。佐伯こそ、酔っ払ってからかってるだけとか後で言うなよ?」
『言わないよ、言わない。だって先生が好きなの。ずっとずっと、先生だけが好きだったの』
「うん」
『先生にぎゅってしてほしい。キスだって、いっぱいしてほしい』
「そういう可愛いの反則。佐伯のしてほしいコトはここじゃできないから…場所変えよっか」
『どこ行くの?』
「もっと大人な場所」
言葉の意味を理解して、私たちはお店をあとにした。
*****
部屋に入るなり、先生は私を優しく抱きしめた。
愛おしい温もりに包まれて、鼓動は加速していく。
「誰にでもこんなことするわけじゃないから。佐伯だけ、特別」
夢のような時間が流れて、先生に愛おしい視線を向けた。
『佐伯じゃなくて、下の名前で呼んで?』
「…ーーひより」
初めて聞く甘い声で私の名前を囁いて、紅潮した頬を優しく撫でた。
『ねぇ、もう一回聞きたい。好きって』
「好き。ひよりのことが好き」
あの頃はもらえるはずのないと思っていた愛の言葉に、胸が熱くなる。
『…先生…私も…大好き』
嬉しくて、幸せで、溢れてきた涙で視界がぼやけ、瞬きをした弾みに涙が零れる。
今、目を閉じたら、先生はたくさん私を愛してくれるかな?
キスが欲しくて、そっと目を閉じると、唇に柔らかなキスが落とされた。
優しい優しい愛の口づけ。
角度を変えて何度か唇を重ね合わせたあと、名残惜しそうに離れていった。
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