あなたは私のはじめての人 (Page 3)

穏やかに治まってくる快感を味わっていると、優は休むことなく覆いかぶさってきた。

「梓、入れたい。入れていい?」

子犬のように耳がぺしゃっと寝て、くんくん鳴く幻覚が見える。健気な感じがして、可愛らしく思うも、秘部に押し付けられるものの獰猛さにドキドキもする。

「……ゴムないとだめ」

「着ける!すぐ着けるから」

ベッドから勢いよく飛び出したのはいいが、優はすぐに塩に浸った青菜のようにしゅんとして、こちらに振り返った。

「ゴム持ってない……」

「えっ」

「まさか今日こんなことになるとは思わなかったから……。童貞の部屋にコンドーム用意されてないよ……」

「まあ……だよね」

好きな人の家にコンドームが1箱きちんと用意されていたら、それはそれで嫌だったかもしれない。

私は身体を起こして、ベッドに座り、乱れた衣服を直した。

「私、買ってくるよ。コンビニ近いでしょ?」

「は、はあ??おっ、まえを行かせられるわけねぇじゃん」

「でも、その状態じゃ優ちゃんコンビニ行けないでしょ?いいよ、私行くよ。すぐそこじゃん」

私は立派に立った優の息子を指して言った。

ベッドの上で急に慌て出す優を放って、テキパキとブラのホックを留める。

指を差された優は、なんだか気まずそうにTシャツの裾を伸ばして、股間を隠した。

「まぁ勃ってますけど、…いやそうじゃなくて。…………だからさあ…!!」

「…ん?このままじゃコンビニにも行けないし、『イク』こともできない…。優さん、座布団持ってきてもいいですよ」

「バカじゃねえの」

*****

私たちは、同級生だった時のように大笑いしながら、ラブホテルのベッドにダイブした。

2人の体重に丸形ベッドのスプリングがギシギシと軋む。

「気づかれたかな?」

「気づいただろ」

コンビニ店員の顔を思い出し、また笑いがこみ上げる。

私たちは家からさほど遠くないところにひっそりと建つ、場末のラブホテルに来ていた。

私達二人とも実家住みなので、自室で事に及ぶのでは、いつ招かれざる闖入者に脅かされるかわかったものではないということで、コンビニに出かけた今、それならいっそ初ラブホでは?と相成ったわけである。

「意外と綺麗だね。それにピンクとかで可愛い」

「だね」

そわそわと落ち着きない。伏し目がちに、優は頬を染めて控えめにもごもごと言った。

「ねぇ……続き、いい?」

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