スタジオに響いた吐息と愛撫、彼の強さに抗えなかった私

・作

深夜のスタジオで、上司と部下という関係を越えて交わるふたり。年下の彼の強引さに抗いながらも、甘く支配されていく身体。見られてはいけない――その背徳感が、快楽を何倍にも高めていく。誰かが見ていたかもしれない…そんな余韻が、最後まで身体を火照らせる。

廊下の先で、カメラが運ばれる鈍い音がした。
午後十時。情報番組の収録が押して、局内には疲れと興奮の混じった空気が漂っている。編集室の灯りは消え、ほとんどの社員が引き上げた後だった。

「プロデューサー、今日もおつかれさまです」
廊下の隅から現れた男は、Tシャツにジャケットを引っかけたラフな出で立ちで、どこか不遜な笑みを浮かべていた。

「……こんな時間にまだいたの?」

「納品、ちょっと遅れちゃって。さっきサーバーにアップしてきたところです」

彼の名は沢村湊、27歳。局とは業務委託契約を結んでいるフリーのディレクター。
手先が器用で編集も早く、現場対応にも強い。だが、何より厄介なのは――彼が、人の懐に入り込むのがうまいことだった。

「中条さんも、毎晩遅いですね。ご家族は大丈夫なんですか?」

その言葉に、中条美咲はほんのわずか、肩をすくめた。

「家族って……子どもはまだ小さいし、夫は出張中。毎日寝かしつけは母に任せっぱなし」

「へえ、旦那さん不在なんだ」
沢村が一歩、距離を詰めた。

「……やめて。そういう言い方」

「どんな言い方ですか?」

口調は柔らかい。だがその声の奥には、甘く絡みつくような毒が潜んでいた。

美咲は黙ったままドアを開け、誰もいないスタジオの中に入った。
天井のライトは落とされ、ガラス越しの副調整室に自分の影がぼんやり映る。
そこに続くように、沢村の気配が背後に忍び込んできた。

「……中条さん、またここ?」

「現場、まだ片づいてないし……」

「まさか、わざと残してる?」

「馬鹿言わないで。局内の防犯カメラは……録画されてない時間帯があるって、あなたが教えたんでしょう」

彼女は低くささやきながら、スタジオのドアに鍵をかけた。

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    美奈 さん 2025年5月27日

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