ちゃんと「待て」をしましょうね? (Page 2)

「あたしってそんなに魅力ない?どう思う?テツ」
「いや、そういうの女友達に話せよ。男の俺に話すことじゃないだろう」
「女の子にこんな話できない!あたしが魅力ないってアピってるよそれ!」

都内の居酒屋で、モモは共に飲んでいるテツロウに強く吐き捨てた。向かい側にいるツリメの男が、テツロウ。同じ会社で働く同期で、同じ音楽の趣味のせいか名前で呼び合う男友達だ。

「EDだったりしてな。それか、最悪なのはモモに性的興奮を覚えないっつうな」
「EDはない!た、多分ない!」
「イチャイチャしている時に確認したことあっか?」
「できるわけないじゃん!好きものの女だって思われたらやだし!」
「そうかー?意外と年下男は、年上の女にリードされるのが夢なもんよ。いいと思うけどなぁ、そういうの」
「…そういう女なら、抱きたいと思うもの?」

あー、抱かれたい。
モモは、好きな人に抱かれたいと思う。久々に付き合った彼氏だし、むちゃくちゃに抱かれてみたい。自分でも性欲が強い方だとは思うが、濃厚なキスをされていれば高まるのだって仕方がない。

「欲求不満なんだなぁ、恋人に抱いてって言われたら抱くだろう。男なら」
「うー、抱いてほしい…!」

モモはビールのジョッキを机にドンッと置き、低く押し殺した声で言った。

「…先輩?」
「えっ?あ…!」

モモは思わず飛び上がった。いい気持ちで酔っていたのに、一気に酔いが覚めた気がした。

「え、今何て…お友達と飲み会とは聞きましたが、今の会話は…」
「ち、違うの!アオイくん!ほら、テツは男友達!前話したでしょう!?」

スーツ姿のアオイが、そこには立っていた。彼は男の同僚や上司と思わしき男性たちが数名いたが、アオイの緊迫した様子を見ると、居合わせてはまずいと思ったのか店員につれられて奥に歩いていく。

「あー…そう、そう!俺は男友達。友達のモモと飲んで、ちょっと口説いてたんだ」
「はっ?ちょ、ちょっと、テツ!」
「モモは可愛い女だからな。つい口説きたくなるの、恋人のお前ならわかるだろ?」

何を、言っているのか。モモがテツを睨んでいると、ぐいっとアオイに手を引っ張られた。いつものような優しい彼ではなく、張り詰めた顔のアオイ。

「先輩、お話があります。すぐ来てください」
「え、えっ?でもアオイくん、会社の人と飲み会でしょ?それにテツ、嘘を…」
「すぐ行きましょう」

アオイに強引に腕を捕まれ、引っ張られた。あまりに強い力に、モモは動揺するしかない。いつものアオイとは全然違っていて、なんだか怖い顔をしている。

「俺に感謝しろよ」

テツが1人残された机で呟いていたが、モモとアオイの耳には届いていなかった。

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