愛をこじらせた一軍幼馴染に初体験を奪われた件 (Page 2)

恭ちゃんと私、久藤英子は幼馴染だ。

といっても、よくドラマとか漫画であるような、甘酸っぱい関係ではない。

家が近所で、同じ幼稚園からまさかの高校まで一緒に進学してきたが、恭ちゃんはいわゆる一軍というか、カースト上位軍団にいて、私はクラスの端っこで本を読んでるタイプだったからだ。

幼稚園、小学校はいざ知らず、思春期を迎えると、お互いそれとなく距離を置くようになった。

ご近所かつ幼稚園時代からママ友のお母さんたちはさみしがっているが、ごく当然の成り行きだと思う。

高校受験までは「勉強教えて~」と時々泣きついてきた恭ちゃんも、いざ入学してしまえば、私のことなど忘れたように、学校ですれ違ってもあまり反応しなくなった。

用があれば話すが、その程度。実際の幼馴染なんて、そんなもん。

このままお互いに存在を忘れて、これからは生きていくんだろうって思っていた。

…それが。

「尾崎恭介でっす!好きなタイプは色白でおっぱいがきれいな子!おなしゃーす!」

ゼミの新入生歓迎会の席で、私は一人凍りついた。

和風料理店の座敷の大広間で、恭ちゃんの声が非常によく響く。

恭ちゃんは私の後から店に入ってきて、背中を向けた席のいずこかにいるらしい。

いや、まって、なぜここに。

狙ったわけではないが、地元から少し離れた大学なのに、同じ大学に進学してたってこと!?

全然知らなかったし、気づかなかった…。

「久藤さん、どうかした?」

隣に座った加藤くんが、心配そうに聞いてくれる。

私は曖昧に笑ってごまかした。

*****

後日、実家に連絡を取ると、母は私が恭ちゃんの進学先を知らなかったことのほうに驚いていた。

「恭ちゃんから、あんたと同じ大学に受かったって聞いたのよ?」

「聞いてないんだけど、そんな話」

「えー、いったと思うけど」

この様子では、大方誰かに話して、それで私に話した気になっていたのだろう。

というか、向こうは私と同じ大学だって知っていたということか。

一体どこで、と思わないでもないが、この際そんなことはどうでもいい。

「あんたたち、やっと仲直りしたと思ったのに」

電話の向こうで、母が呆れたような声を出す。

でもね、お母さん。仲直りも何も、喧嘩してないんだよ。

喧嘩どころか、高校に入ってからはクラスも離れたし、恭ちゃんとはほとんど話していないと思う。

必要があって声をかけるときも、呼び方はもうずっと「恭ちゃん」じゃなくて「尾崎くん」だったし。

ごく自然と疎遠になっただけなのだが、母には喧嘩しているように見えていたらしい。

「早いとこ、仲直りしちゃいなさいよ」

母はそういって電話を切ったが、その後のゼミでも、私と恭ちゃんが親しく話すことはなかった。

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