私の彼は、嫉妬深い年下クン。

・作

30代半ばのOL・美沙(みさ)は、バリバリ働くキャリアウーマンとして職場で重宝される存在だ。そんな彼女は、同じ職場に10歳年下の恋人・力弥(りきや)がいる。周囲に内緒で交際をするふたりだが、仕事が終わればプライベートでは毎晩、激しいセックスを繰り返していて…。

「お疲れ様でした~」

仕事が終わり、部署から次々と社員が帰宅する。

私がデスクの上のファイルをまとめていると、目の前に座る力弥くんが声をかけてきた

「美沙さん、お疲れ様でした」

「力弥くんも、お疲れ様。最近、ずっと残業が続いていたから疲れたでしょう?」

「いいえ。俺は、そんなんでもないですよ」

力弥くんは私より10歳年下の24歳で、まだ入社2年目の男の子だ。

同期の中で誰よりも仕事ができる彼は、上司からの信頼も厚い。

「じゃ、また明日」

「ええ、またね」

そう言って、私たちは手を振って別れる。

だけど、これは周囲に内緒で付き合っている私たちのパフォーマンスに過ぎない。

そのまま、別々のルートで帰宅するフリをして、力弥くんのマンションへ向かう。

ちょうどドアの前で落ち合った私たちは、彼がカギを開けると無言のまま室内に入る。

その瞬間、力弥くんの野生の本能が呼び覚まされたような気がした。

*****

「んっ…」

マンションの玄関扉を閉めた瞬間、力弥くんが私を抱き寄せてキスをする。

お互いのカバンはドサッと床に落ちたけれど、構う余裕はない。

「んぅ…」

「美沙…お前今日、なんで中山と話してたんだ?」

「んっ…いつの話?」

質問してきたわりに、力弥くんは深いキスをやめない。

呼吸をする時に一瞬だけ唇は離れるものの、まだまだキスを堪能しきれていないのだろう。

「昼休憩が終わって、午後に始業してすぐだよ。なんか、親密そうにしていたけど」

中山くんとは力弥くんと同期入社の男の子で、ひょうきんな一面があった。

仕事でも小さなミスをするような子だったけど、可愛がられているのはそのせいだと言える。

「別に、普通の話だよ。休日に彼女とランチに行くから、オススメの店を教えてって」

「それなら、他にも女はいっぱいいるだろ。どうして美沙に聞くんだよ」

「…力弥くん、妬いているの?」

キスを続けながら私がわざといじわるっぽく微笑むと、途端に力弥くんが真顔になる。

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