私はセックスから逃げ、セックスに耽る
美帆は32歳の妊活中の主婦だったが、妊活の辛さに耐えきれず、逃げ出す。その先で夜職の雅臣の部屋に転がり込む。こどもを作るための義務的なセックスに飽き飽きしていた美帆は雅臣との、欲望のままに耽るセックスに溺れるのだった。
すべてに嫌気がさしたのだ。
こどもはまだかとせっつく義実家。
排卵日、妊娠検査薬、健康な精子と卵子……。
こどもを作るのが至上の目的のセックスに、私は嫌気がさした。
私は家を出た。
夫には何も告げず。
夫からは何度も連絡がきたが無視をし、バーで声をかけてきた男の部屋に転がり込んだ。
その男の名は雅臣。
雅臣は今は寝ている。
1DKのアパート、敷きっぱなしの布団の上で。
もう昼間だというのにいぎたなく。
まあ夜の仕事をしているのだから仕方ないのだが。
枕元に並んだビールの空き缶。
私は雅臣の身体に巻きつけていた腕をほどいて、その一本に手を伸ばした。
まだ中身の残っている缶がある。
口を付ける。
ぬるく、ひどく苦い液体が口の中に流れ込んでくる。
「うぷ」
それを口に含んで、私は雅臣に顔を近づけた。
雅臣がうっすらと目を開ける。
キレイな顔をしている。
私より8つ若い25歳。
「なに……美帆。俺まだ眠いんだけど……。う」
雅臣の言葉を無視して口づける。
苦い液体を口の中に流し込む。
「んん」
そのまま舌をねじ込んで、雅臣の口の中をかき回していると、雅臣のからだがもぞもぞと動き出した。
若いからすぐに応えてくれる。
ピチャピチャと音を立ててキスを交わす。
歯列を撫ぜ合い、舌をからませあい、苦かった唾液をすすり合い。
夫とはこんなキスしたことなかった。
「んん。ふっ。ん」
雅臣は私のあごを掴むと、口の中をさらに責め立てる。
お互いたっぷりと唾液の交換をした後、少し身を離す。
「勃っちゃったよ。美帆」
「責任は取るわ」
私は雅臣の股間に手を伸ばす。
彼は真っ裸だ。
平たい腹を撫で、半勃ちしたペニスを手でしごき始めると、雅臣は「うう」とうめき声を上げた。
私がこうやって素性のよく分からない男と、粗末な部屋でセックスに耽るようになって何日が経つだろう。
場面転換
私は完全にノイローゼになっていた。
こどもを作るためのセックスに。
夫もそうなのが伝わってきた。
義務的な愛撫、義務的な射精。
射精の後、どうか受精していますようにと手を合わせて祈り、妊娠検査薬の結果に絶望して、また義務的なセックスの繰り返し。
もっと違うセックスがしたい。
妊娠に縛られない、自由なセックスが。
心が叫んでいた。
それで、雅臣にたどり着いた。
*****
休みの日は裸で過ごし、1日だらだらとセックスをする。
今日はその日だ。
私が雅臣のペニスを口に含んでいると、雅臣が言った。
「美帆、からだを俺のほうへ向けて」
言われるままに雅臣の顔のあたりに下腹部を向ける。
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