いわく付きホテルでの体験談(Aさん・〇歳) (Page 2)
(いやっ…!)
ぺた、ぺた、という感触とともに私の体を登ってくるそれは——紛れもない、人間の手でした。
それも、ひとつではありません。
足の裏を、膝を、太ももを、いくつもの手のひらが覆うのです。
決して華奢な手ではありませんでした。きっと、男性のものだと思います。
でも、そのときはそんなことどうでもよくて、動かない体を這ってくる手の感触にただただ恐怖していました。
腰骨、お腹と、手がどんどん登ってくる。
きっと首に到達したら、この手は私を——
(いや…!助けて…!)
最悪の事態を想像していると、胸元まで登ってきた手がボタンの間からガウンの中に滑り込みました。
(え…!?)
その手は、脇から胸の下までゆっくりと指を這わせ、まるで柔らかさを確かめるように親指で胸を押し上げました。
(え、え、なに…やだ…)
なんだろう。心霊現象のはずなのに、このいやらしい手つきは。
驚いていると、胸だけではなく、私の下半身にまとわりつく無数の手がガウンの下に入り込み、太ももやお腹のあたりをまさぐってきました。
「っう…」
1本の指が脇腹をつぅ、と伝ったとき、初めて声が出ました。
そして、私の声に反応するように指先たちがさらに私の体を撫で回します。
鎖骨や首を予想とはまったく違う力加減で撫でられ、体が動かせない分くすぐったさを逃がせなくて、段々と息が荒くなっていきました。
(ちょっとまって、なにこれ…!)
手はガウンの下に着ていたキャミソールまでたくし上げて、乳首の周りをさわさわとなぞり始めます。
(…!ナイトブラ持ってくるんだった…!)
今すべきじゃない後悔で少し冷静になれた私は、とにかくやり過ごそうと瞼を固く閉じました。
でも、手はそれを許しません。
触れるか触れないかギリギリの力加減で乳首の周りを執拗になぞられ続けると、いつまでも触られない場所に意識が向き始めます。
「っ…ん、…ッ」
おそるおそる目を開いて視線を下に向けても、布団は私の体を覆ったままピクリとも動きません。
でも、布団の中では確かにモゾモゾと動く感覚があるのです。
胸だけではなく、下も——指先が鼠径部をなぞる感触にゾワゾワして、だけど体は動かせなくて、耐えるしかありませんでした。
「ふっ…う、はぁ…」
異常な状況への恐怖と、全身をまさぐられる奇妙な感覚。
生きた心地がしなくて、私は段々とおかしな気分になってきました。
(…あ、そっか…夢なのかも)
私が現実逃避を始めると、鼠径部を撫でていた手がゆっくりとマッサージするような手つきに変わりました。
鼠径部とおしりの間あたりを押されるたびに、布団の中から小さくぬち、ぬち、と音がしました。
(やっ、だめ、音…)
静かなだけに自分の粘膜が擦れる音がいやに耳に入り、顔を隠したくなる衝動に駆られます。
——あろうことか、濡れていました。
それを自覚すると一気に全身が熱を帯びて、あんなに怖かったのに「ちゃんと触って」とすら思っていました。
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