アイドル〜after show〜 (Page 2)
ホテルに着いた3人はチェックインを済ませ、部屋へと向かうエレベーターに乗った。
静かに動くエレベーターでルカはさりげなく悠真の服の裾を指でつまみ、くい、と引いた。
唇を少し尖らせて見上げる。その距離は、キスをねだる以外の意味を持たない。
けれど悠真は動けなかった。
視線が揺れ、ためらいが滲む。前を向く天音は、まだ何も気づいていない。
その沈黙に、ルカは小さく息を吐く。
次の瞬間、胸元のボタンを外し、白い肌と赤い下着の縁を見せつけるように晒した。
悠真は考えるよりも先に手を伸ばしていた。直後、両手に下着越しに柔らかい感触。そして彼は一歩踏み込み、短く、深く、ルカの唇を塞いだ。
「んっ…」
天音がその声に反応したその瞬間、電子音が鳴った。
エレベーターが、目的の階に到着する。
(…危なかったぁ…)
エレベーターの扉が開き、眼前には煌びやかな装飾が3人の目を奪う。
「…903…903…ここだ!」
ルカは先陣をきって部屋の前へ向かう。
扉が開いた瞬間、ルカが声を上げた。
「なにここ、すごっ。夜景もやばい!」
広い部屋。低く抑えられた照明。
ルカは靴も脱がずにベッドへ飛び込み、そのまま大の字になる。
「はー、疲れた。ちょっと休憩」
そう言って、すぐに寝息の真似をする。
規則正しく、少し大げさに。
天音は苦笑して、悠真の方を見た。
「……ほんと、自由ですよね」
「……ああ」
短く返しながら、悠真はベッドに背を向けたルカを一瞬だけ確認する。
眠っているはずの背中は、微動だにしない。
静けさの中、天音と悠真の間に、妙な間が落ちた。
視線が合う。
すぐに逸らされる。
それだけなのに、胸の奥がざわつく。
ベッドの上で、ルカは目を閉じたまま、すべてを見ていた。
(……良い雰囲気なんじゃない?)
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