上海ロマンティック
上海を3年ぶりに訪れたデザイナーの怜奈は、中国のビジネスマン玄と運命的な再会を果たす。彼とかつて肌を重ね合わせた怜奈は、上海の夜景を一望できるホテルで過ごすことになる。そこで2人は、前以上に情熱的に結ばれるのであった。
3年ぶりに上海を訪れたが、怜奈の記憶通り、この街は相変わらずスタイリッシュできらびやかだ。
だが当の怜奈自身は、3年前とは見違えて垢抜けている。
現在27歳の怜奈は、ブランド物の衣服をセンスよく着こなし、プロに指導してもらったおかげで、メイクも自分に似合うものを施していた。
そのため3つ年齢を重ねているにも関わらず、以前よりずっと綺麗になっていたのである。
何よりも、3年前に思い切ってデザイナーとして独立したのを機にキャリアアップに成功したことが、彼女に自信を与えてくれた。
だからこそ怜奈は、周囲を魅了するような眩いオーラを放つようになったのだろう。
今も高級ホテルのバーにて、彼女は男たちの視線を一身に浴びながら、マティーニのグラスを傾けている。
一流のバーだけあって、美味しいカクテルだと悦に入る怜奈だったが、急に横から声を掛けられた。
「お姉さん。よかったら僕とご一緒しませんか?」
中国であるにもかかわらず、流暢な日本語で話しかけられ、怜奈はハっとする。
その声に聞き覚えがあったため、すぐさま声の主に問いかけた。
「ひょっとして、あなた…玄さん?」
怜奈の質問に対し、スーツ姿のイケメンも、驚いて目を丸くしていた。
「えっ?君はひょっとして怜奈なの?」
まさか3年前、上海を訪れた際に出会った男性と、ここで会うなんて…。
奇跡としか言いようのない再会を喜ばしく思い、とろけるような微笑みを浮かべる怜奈。
「そう!私、怜奈よ!あれから玄さんと約束通り、思い切ってデザイナーになったの!」
彼女は今、心から幸福だった。
なぜなら再び上海にやって来たのも、玄に会いたかったからなのだ。
*****
偶然にも同じホテルに泊まっていたことが発覚し、2人は玄の部屋で飲み直し、思い出話に花を咲かせていた。
「怜奈があんまり綺麗になっていたから、気がつかなかったよ!いやぁビックリした」
そう言って玄が自分に熱っぽい視線を送ってくれるため、ゾクゾクしながら怜奈が口を開く。
「ウフフ。そう言っていただけて光栄だわ。玄さんも素敵よ」
「いやいや。僕はもう36歳で、立派なおじさんだよ。最近は自分でも衰えたと感じているんだ」
玄はそんな風に言うが、むしろ怜奈にとっては、今の彼こそ堪らなく魅力的である。
中国の大企業でビジネスマンとして活躍している彼は、スタイルがよく、スーツがよく似合う。
黒の短髪も清潔感があり、端正な容姿は3年前と変わらず美丈夫の部類に入る。
「そんなことないわ。私にとってあなたは、いつだってヒーローだわ。だからこそ釣り合いたくて、必死で努力したのよ」
3年前、当時の恋人に婚約破棄された怜奈は、結婚資金を崩して上海旅行にやってきた。
薄給のOLとして働く彼女に、本来、海外旅行は身の丈に合わない贅沢だが、これによって怜奈の人生観は大きく変わる。
バーで偶然会った玄にナンパされ、そのままホテルで熱い一夜を過ごしたのだ。
玄が与えてくれたトキメキと快楽は素晴らしく、怜奈はすぐさま彼に恋に落ちた。
このままいっそ、上海に定住して、玄と一緒になりたいと思ったくらいである。
だが玄がそれを許さなかったのだ。
紹興酒の入ったグラスを揺らしつつ、当時を思い出しながら、玄が口を開く。
「怜奈との一夜は、僕にとっても最高だった。このまま君を離したくないとさえ思ったよ。だけど、君にはまだすべきことがある気がしたんだ」
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