堕愛 (Page 2)

扉をくぐった瞬間、日常の外へ踏み出したと気づいた。心臓が跳ね上がり、吐息さえ熱を帯びる。

「……拓也」
名前を呼ぶ声は、震えながらも熱を帯びていた。

薄暗い部屋に入ると、私の足元は少しふらつき、胸の奥がさらに高鳴る。緊張と背徳感が混ざり、息が浅くなる。

拓也の腕に体を預けたまま、もう戻れない場所へ足を踏み入れたことを、確かに感じていた。

唇を重ね、短く息を漏らす。体温が伝わり、心臓が跳ねる──自然と手が肩や腰に回り、軽く押し合いながらも、互いの存在を確かめるように絡み合う。

「ん…拓也…」

壁を背にしながら数歩ずつ後退し、キスは途切れない。肩や背中に触れる指先の熱に、二人の鼓動はさらに高まる。ベッドの端に背中を預けると、拓也が覆いかぶさるように身を近づけた。

唇を重ねたまま、手が腰から肩へ、肩から背中へと滑り、体全体で互いの温もりを確かめる。胸の奥が熱く、背徳感がじわりと広がる。

目を閉じる私を前に、拓也は初めてワンピースの肩のボタンに手をかけた。指先が触れると、小さく息が漏れ、体が微かに震える。

ボタンが外れ、ワンピースが肩から滑り落ちる。ベッドの上に残されたのは下着姿。薄布越しに透ける肌の線が、さらに空気を甘くする。

下着越しに胸を揉まれるたび、背中が反り、短い吐息がこぼれた。羞恥と快感が絡み合い、理性が削られていく。
「はぁっ…だめ…でも…」

拓也の手が肩紐へと伸び、背中の留め具がぱちりと外れる。布が緩み、隠されていた素肌が露わになる。空気の冷たさと掌の熱が重なり、体がびくりと震えた。

羞恥に濡れた声とは裏腹に、体は拒めず、さらに彼を求めるように押し付けられていく。
「ん……んんっ!あっ、あっ……んんっ…ああっ!」

互いの鼓動と吐息が重なり合い、ベッドの上で絡み合う体は、甘く、濃密で、逃れられない快感に包まれた。唇と肌が触れるたび、意識はさらに深く、甘い渦の中へ沈んでいく。

「だめなのに…拓也じゃなきゃ…」
涙に濡れたような吐息とともに、心の奥に隠してきた愛しさがあふれ出す。

時間の感覚は消え、ただ互いの温もりと熱に意識を奪われる。心と体が完全に交錯し、外の世界は一切存在しない。
──そしてこの夜を境に、沙也香はもう「いつもの日常」に戻れなくなった。

Fin.

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