あなたと同じ夢を見る (Page 4)

「大丈夫、弥生」

「大丈夫です…、燈子さん」

なんだかくたくたって感じだったけれど、もうちょっと頑張ってもらうことにした。弥生の細い手を引いて対面座位の形にして私の首に腕を回させる。
私の蜜や唾液でべたべたになった頬を撫で、舌を絡めてキスをする。舌を絡めながら私はゆっくりと腰を揺らした。

「あ、あ、燈子さんそれは…」

「辛いだろうけど、も少し手伝ってね。私まだイってないから」

「ええ、大丈夫よ。私も燈子さんにも気持ちよくなって欲しいから」

本当にこの子は可愛いことしか言わない。
もう蜜でとろとろになったお互いの秘部をこすり合わせる。ちょっとづつ位置を調整して、上手くクリ同士が擦れ合うといっそ痛いぐらいの快感が背筋を走り抜ける。強すぎる快感はどこか針に似た鋭さがあった。時々円を描いたりしながら擦り合わせるうちに私の動きに合わせて弥生の腰も揺れ始める。

「弥生っ、あ、あ、イキそ。も、イク!」

「私も、ああん、燈子さんっ!」

「弥生!」

「燈子さん!」

お互いの名前を呼びながらぎゅっと抱きしめると同時に快感が弾け、ぷしゃあっと潮を吹きながら、お互い絶頂へと駆け上る。絶頂の瞬間零れた弥生の涙を唇で拭い、二人でばったりとベッドに倒れこんだ。

*****

「ねえ弥生、私の為に全部捨てて二人で逃げようと言ったら一緒に行ってくれる?」

「…ダメよ」

今だったらいいよと言ってくれそうだったんだけどなぁ。婚約者と結婚するのが幸せだとは思わない。所詮政略結婚だし、お互いの事業を拡大することしか頭にない親と婚約者。その大事な駒である私が全部捨てて、駆け落ちしかも同性となんて知ったら親はうっかり発狂してしまうかもしれない。弥生は一人娘だしなあ、本当に発狂しそうだ。

「勘違いしないでね、燈子さん」

「え?」

「私は一人娘ですけど、いとこもたくさんいますし、別に私一人いなくなったぐらいで揺らぐ会社ではないのよ。これといってお相手が決まっているわけでもないですし。でも、燈子さんはお相手も決まって日取りも決まっているでしょう。今はだめよ。だからといって燈子さんと一緒に行くのが嫌じゃないの。むしろ全部捨てて一緒に生きていけたらどんなに幸せか、想像してしまうの」

「今じゃなかったらいいってこと?」

にこりと笑ってかすかに頷いてくれた。ああ、この約束だけで耐えていける。手をぎゅっと握ると弥生がぽろぽろ涙をこぼす。その涙を拭いながら泣かないでという私も泣いていた。

私たちは手を繋ぎながら、しがらみのない世界を二人で笑いながら駆けていく夢を見ていた。

Fin.

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