催眠系動画で感じやすい体になっちゃった？

最近なんだか調子が悪く、なんとなく集中が続かない。別に睡眠は足りてると思うし、じゃあ食事面かと思い疲労回復レシピを試しても効果なし。他にも半身浴などいろいろ試しすぎて、逆に疲れたような気がする。繁忙期じゃないけれど、このままというのもなあ感じ始めたころ。

「かーんな、最近集中できないんだって？ASMRとかいいんじゃない？最近ちょっと流行ってるやつ。眉唾かもだけどさ、ちょっとやってみたら？一度やってから睡眠の質良くなったし、オススメ」

と友達に言われ、雑誌で最近流行っているという記事を読んだのを思い出した。

「んー、やってみようかな」

効いたらそれはそれで万々歳だし、効かなくてもやっぱ眉唾かって話だし。試しにヘッドフォンを買ってパソコンにつなぎ動画を検索してみる。適当にみていると催眠系というのが目に飛び込み、再生してみる。

『ゆっくり深呼吸して。リラックスして、はい吸って吐いて―』

動画の音声に合わせて深呼吸する、だんだん眠くなるような感じがして頭がぐらぐらする。パンッと手が叩かれると同時にハッと覚醒する。なんか頭がすっきりした。
その日は寝つきもすこぶる良くかった。目覚ましで起きた時、昨日まで感じていた疲労感やなんとなくけだるい感じも吹き飛んでいた。
そんなある日

「飲み会？今日だっけ？」

「参加する？最も仕事終わらないと無理だけど」

「うん、参加する。仕事も大丈夫そう」

あのASMRを聞いてからというものの、前と同じどころか前以上に集中力が増した。あれ以来聞いてないけど、本気で効果があったのかもしれない。

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久しぶりに参加した飲み会では同期で話したりできたし、幹事一押しのお店は料理もおいしくて、お酒が大して飲めない私でも楽しめた。そろそろいい時間になったところで

「じゃあ、ここまで。二次会もいいけど羽目外しすぎるなよ！お疲れ様でした！」

パンッと水城主任が手を叩いた。その音を聞いた瞬間ぞくぞくっと快感が背筋を走り抜けた。頬が熱くなる。え、なんで手を叩いた音だけでこんなことに。

「え、柑奈？大丈夫、ふらついてるじゃん」

「ちょっとのぼせちゃった？みたいで。先にお店出て空気吸ってくる」

足早にお店を出て、少し冷たい外の空気を胸一杯吸う。脚から徐々に力が抜けて少し壁に寄りかかった。まださっきの快感が身体に残ってる気がする。

「どうした和田、気分悪い？帰れそうか？」

「水城主任…」

「顔真っ赤、大丈夫か？ここからうち近いから寄っていけ。体調悪かったら泊ってもいいから」

「だ、大丈夫です！」

寄りかかっていた壁から離れた瞬間よろけた。単純にタイルの隙間にヒールをひっかけたのだが、体調が悪くてよろけたと思われたのか、そこからは半ば強引に主任に手を引かれる。立ち止まることもできず、主任の家にお邪魔することになった。