ヒギンスは哀れか (Page 4)
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それからさらに3度交わり、ケインはヒギンスから、からだを離した。
「良かったぞ。ヒギンス」
ヒギンスはまだ意識が朦朧としたまま静かにうなずいた。
「ヒギンスよ。俺がお前を欲しくなってたまらず、戦場のどさくさで、お前の夫をこの手で弑したと言ったら……どうだ?」
唐突にケインが言った。
ヒギンスは一瞬目を見開いたが、すぐにとろりとした表情に戻った。
「それがあなたという男でしょう。私は気に入りましたよ」
ヒギンスの答えに今度はケインがひどく驚いた。
「お前という女は……やはり素晴らしい。俺の思った通りの女だ」
ヒギンスは艶やかな笑顔を浮かべる。
浮き草のようなこの身。
だれが欲しようとかまわぬ。
それがヒギンスの人生観だった。
Fin.
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