幽霊になった想い人に会社でとことん責め立てられることに。 (Page 2)

仕事中は周りに人もいるので、紙に走り書きで尋ねる。
“どうしてずっと私の所にいるんですか!?
仕事に集中できません!”

「それはね、見えるのが酒井さんだけだからっていうのと、単に俺がここにいたいからってだけだよ」

くしゃっと砕けた笑みを向けられたら、ドキッとしてしまう。
だって…好きな人ですし。

私の戸惑いをよそに、仕事に集中しろ!とかってからかってくる立花さん。
その時、部長から呼ばれた。

うわ…うちの部長ってセクハラ親父なんだよね…
口角の引きつった笑みを必死で浮かべながら部長の元へ向かう。

すると、やっぱり近い近いこの部長。
距離も近いし、談笑しているように見せて腕やら手やら触ってくる。

き、気持ち悪いっ!

身の毛を立たせながら、どうにか笑みを作ってやり過ごそうとしている私の視界の端には立花さんが…ってあれ?なんか怒ってる顔?

そして、立花さんが部長に近付くと、手が頭に向かって…風のように見せて華麗に舞うカツラ。
カツラは部長の右肩にぶつかった後、そのまま地面へ。

や、やばい!笑っちゃう!
ファサッという音と共に風の通った頭にハッとして、部長はカツラを拾いそそくさと話を切り上げて去っていった。

立花さん…今のはグッジョブです!!

「あのエロオヤジ、ほんとにいつも懲りないな」
「立花さん、ありがとうございます」
「お礼はいいよ…これでチャラね☆」

チュッと、頬にキスをしていった立花さん。

ここで私がいやいや立花さんもセクハラ!って突っ込めば良かったんだけど、好きな人からだしそりゃ嬉しくなっちゃうじゃないですか…

嫌がってないことを察した立花さんのイタズラが、そこからどんどんエスカレートしていったんです…

*****

「…っ、んっ…」
「こら、声出しちゃダメでしょ?」

私のデスクは後ろの端にあります。

しかも壁側で隣のデスクとも人1人通れるくらいの距離があるものだから、業務で皆が集中する中、ここで私がされていることは誰も気付いていない。

最初は、業務に集中する私の前に垂れた横髪を立花さんが耳にかけたことからだった。

集中している時にいきなり触れられて、それが耳元だったものだからくぐもった声が出てしまった。
「ごめん!前にかかってたから見えづらいかなと思って…それに、綺麗な髪だから触りたくなっちゃって…」

褒めるようにまくし立てられて、何も言えなくなってしまった。
心の中で、『もう!変な声でちゃったじゃないですか!』と抗議したら可愛かったと言い退けられる。

嬉しさと恥ずかしさを隠してディスプレイに視線を戻す。
すぐに仕事モードに切り替わった私は資料作成もサクサク進む。

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