幼馴染の彼と“仲良く”するエッチな遊び (Page 2)

幼馴染の郁こと、呉島郁人(くれしまいくと)は、もともとはお隣に住んでいた一個年上のお兄ちゃんだ。

地元は、遊ぶ場所は山か川か海か、という田舎なので、ご近所の子どもたちは必然的に野性的でアグレッシブな遊びを思いつき、大人への秘密を共有するせいか、親密になっていく。

その中でも郁と私は、兄妹のような仲の良さだった。

どこへ行くにも大抵一緒、親でさえ「郁人くんが一緒なら」と手放しで信頼していた。

となると、思春期に突入すれば必然的に周囲からは、その近すぎる距離感をからかわれるようになる。

私より先に思春期へと突入していたその頃の郁は、それはもうわかりやすく私を避けるようになったが、しばらくして私が寂しくて泣き出すと、あっさりと根負けしてくれた。

「――事実と噂が違うのが、引っかかるんだ」

「事実と噂?」

泣いてしゃくり上げる私の前で、郁は読めない表情で呟き、次の瞬間、私の唇は柔らかいものに吸われていた。

それが郁の唇だと気づいたのは、当の郁が離れてからである。

「い、郁…いま…」

「由良、俺たちもっと“仲良し”になろうか」

「仲良し?」

据わったような、昏(くら)い目をした郁が迫ってきても、私は逃げなかった。いや、逃げられなかった。

初めてのキスはなんだか恥ずかしくて、気持ちよくて、見よう見まねで絡ませた舌の感触は今でも鮮明に思い出せる。

それ以来、郁と私は特別な“仲良し”になったが――。

*****

「え、東京?」

「うん、そっちで仕事探そうと思って。ツテもないわけじゃないしさ」

地元の大学を卒業した郁は、一足先に大人になったかのように、あっさりと東京行きを決めていた。

「え、じゃあ私も…」

「お前はまだ一年、学校あるだろ」

すげなくいい返されて、ぐっと言葉に詰まる。

しかし、私が地元で進学を決めたのは、地元で郁と一緒にいるためだ。

いわゆる彼氏彼女、という感じじゃなかったが、ずっと一緒にいたのだ。これからも一緒にいると思っていた。

私には郁と離れるなんて、想像すらできないのに。

あれこれ悩み、郁にも相談して決めた進学先である。同じ大学じゃないけど、自宅から自転車で通える範囲にある女子大は、郁の学校にも近いというのが決め手だったのに。

「何、寂しがってんだよ。ガキじゃあるまいし」

「まだガキだもん」

成人して大喜びした先日のことを都合良く忘れて、唇を尖らせると、郁は苦笑を浮かべながら私に触れた。

首の後を指の腹で撫でられ、シャツの隙間から忍び込んだ手が、脇腹を擦る。

“大人”になって新しくなった、郁と“仲良く”するサインだ。私を押し倒しながら、郁が囁いた。

「じゃあ、俺のいうこと聞けたら東京に来てもいいぞ」

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