ベルサイユの君に恋してる~男装カフェの最推し~ (Page 3)

 カフェ以外でルイくんと会えるなんて、まりは思ってもみなかった。
 最後の握手をした時に手渡されたのは、待ち合わせ場所が書かれた手紙。
 場所は、ラブホテルだった。まりだって25歳で、以前付き合っていた彼氏と来たことぐらいはある。
 約束の時間通りに現れた黒いジャケットの私服のルイくんに戸惑った。
「ルイくん…!」
「良かった、まりちゃん1人で。さっきカフェで一緒にいたお姉さんも同伴だったらどうしようかと」
「さ、さすがに帰ってもらったよ。だって、卒業するルイくんと、また会えるチャンスだから…」
 
 お目付け役でついてきてもらった彼女と別れ、まりは南国風のラブホテルの中にいた。女子会プランなども盛んに行われているラブホテルに、どうしてルイくんは呼び出したのだろうか?

「前からさ、まりちゃんとは良い友だちになれると思ってたんだ」
「と、友達?あたしが、ルルルイくんと?」
「まりちゃんとは、カフェを卒業してさよならじゃ寂しすぎるよ。今までいっぱいお話したじゃない?本当はどっかお店で話したかったけど、卒業してすぐファンと密会!ってなったら他のファンに怒られそうだからさ。ここならハニトーも食べれるって聞いたし、良いかなって」
 
 あ、そういう理由。

(そうよね、ルイくんだもんね)

彼は優しい男に見えて、男ではないのだ。一応は女同士なんだから、そういうことにはならない。彼の清廉な笑みが、まりに証明してくれていた。 
 ルイくんはフォロワー数だって2万人超え。卒業の日、ファンだった女の子と喫茶店は入りづらい。

「嬉しぃ、ルイくんとはお別れだと思ってたから…」
「ふふ。部屋さ、せっかくだからきれいなとこにしよ?」

 ルイくんに部屋を選んでもらい、まり達は部屋を訪れる。ラブホテルなんて学生ぶりかもしれない。このアジアンテイストのラブホテルは、いやらしい感じもしない。

「あ、ルイくん、ハニトー、電話でたの…む…?」

 ハニトーを食べながら、ルイくんとおしゃべり。そんな想像を膨らませ、胸を弾ませた瞬間だった。
 部屋の中に入ると同時にキスをされるなんて、誰が想像できただろうか?

 ルイくんの女の子の唇は、とろけるように柔らかった。

「ぇ?…ぇ?る、ルイくん…?」
「まりちゃん、私のこと好きだよね?だから、嫌じゃないよね?」
「う?ぅん···?」 
「良かった!でも、私が女だからってラブホテルまで来るのは良くないよ?私以外は、気をつけてね」

 キスの意味がわからないまま、ルイくんに後頭部を抱かれ、またも深く口付けられた。柔らかい唇から、細くて熱い舌が絡まってくる。

 まりがルイくんの胸を押すと、ルイくんの胸は小さいけれど、柔らかい。

「まりちゃんは、ずっと私の最推しだったんだ…。可愛くて、本当、お姫様みたいで…」
 
 ベッドに押し倒され、ルイくんの恍惚とした顔を見上げる形になり、背筋がゾクリとした。

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