鏡の中の私 (Page 2)

「恥ずかしいところかき回されて、人に聞かせられないような声であんあん喘いでる。この人は誰?」

次に背を走ったものは痺れなんてレベルのものじゃなかった。羞恥心を煽られた私はストッパーが外れてしまい、彼に蔑(さげす)まれただけで彼の指を締めつけて…イッてしまった。

「わ、…わらし…っ、わらひ……れすぅ…!」

「ごめんなさ、ごめ……なさいっ、気持ちよくて…声が出ちゃ、うの…っ」

そこからはもう、羞恥を上回る快感に襲われる。ぐちゅぐちゅと鳴る水音も、自分のあられもない喘ぎ声も興奮材料にしかならない。

「も、だめなの、ナカ…ずっときもひよくて……っ」

「きもちよくて?」

「いっちゃ、…ぃく…いくぅ…」

回らない思考でイくと宣言して、身体は勝手に限界に向かおうとする。

…しかし、彼の一言でそれは遮られる。

「勝手にイくの?」

彼の声は甘い。…だけど冷たくもあった。

「ひ…っ」

主人に許しを得られなかった奴隷のように、私の身体は縮こまる。

勝手にイくのか、その言葉とは裏腹に竹下くんの指は止まらない。

我慢、我慢しないと…。そうしないともうやめられてしまうかもしれない。…もう私を抱いてくれないかもしれない。

恐怖と不安が頭を過ぎる。

…それなのに。

どうして私の身体は気持ちよくなっちゃうの?

「ごめ、なさい…ごめんな……さいぃっ」

「も、だめです、きもち…よ……いっちゃ、あっ」

「いっ、ていい…れすか? い…きたい…、ひゃ…がまん…できな…」

舌が回りきっていなくて恥ずかしい。

そんなことを思う余裕はなかった。

我慢ができないから、イッてしまう前に許しを得るしかない。私は何度も何度も懇願(こんがん)した。

「鏡見て、京子さん」

竹下くんは、優しくいい放つ。

鏡に目を向けた私は…、上気した頬で、だらしなく口を開けて、涙と唾液でぐちゃぐちゃの顔。アソコも愛液が溢れ太ももまで濡れてしまっている。快楽にぐねぐねと動く四肢。

そんな、自分の姿を見て。

「……いっ、く……ぃく、いっくぅぅ…!」

--我慢できずにイッてしまった。

「……ぁ、…は」

気持ちがよくてどうにかなってしまいそう。できることならこのまま脱力して眠ってしまいたい。そう思ってしまうほどの充実感が私を襲う。

それなのに、竹下くんは、全身を快感で揺らし息も絶え絶えの私の頭を愛おしそうに撫でながら。

「勝手にイッたから、おしおきね?」

そう囁くのだった。

Fin.

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