幼なじみが欲しい
幼なじみで腐れ縁の雷太をひそかに思っていた私は、ある晩……欲望のまま酔いつぶれて眠る雷太に手を伸ばした。一度だけでいいから雷太が欲しかった。雷太を拘束し、フェラチオをしていると、突然雷太に抱きしめられ、ベッドへと組み敷かれた……。雷太の瞳が欲情に濡れていた。
すっかり外は冷え込んで、骨に沁みるような寒さの中、公園の木立沿いにある暗くて狭い路地を、ふらふらと蛇行しながら歩く二人の姿があった。終電を逃し、すっかり人気のない暗闇の中、電灯の明かりだけを頼りに先を進む。
「ちょっと、マジで、勘弁してよ、重たい……」
「俺は……俺は、ダメな人間だぁ!」
ネクタイをだらしなく首からぶら下げ、私の肩に寄り掛かるこの男は、私の幼なじみの雷太だ。小学校の入学式でたまたま隣の席に居合わせたあの日から、私たちの腐りきった縁が続いている。
失恋をし、真っ赤な顔をして酔いつぶれる雷太を見て、毎度のことながら呆れてしまう。雷太は優しすぎる。尽くす男なのだろう……そしてなぜかどうしようもない悪い女に惚れてしまう。敢えて自らいばらの道に突き進んでいるようにさえ思える。そんな雷太に恋をしている私も、とんだ大馬鹿野郎だと思う。
今夜も雷太のアパートまで送り届けた。慣れた手つきで雷太の鞄から鍵を抜き取ると、部屋に入り、ベッドへと雷太を放り投げた。気持ちがよさそうに体を捩り、むにゃむにゃと寝言を言う雷太を横目に、私は踵を返して玄関に向かおうとした。
「んー、千沙……」
「……何よ」
寝ぼけているのか甘ったるい声色で私の名前を呼んだ。まるで愛でるようなその声に、体が動かせなくなった。大きく息を吐くと高鳴る胸を押さえた。このまま、ただの『友人』でいいのだろかという思いが強くなる。
今夜だけ、ちょっとだけ、ほんの少しだけ。
自分に精一杯の言い訳をして雷太に近づいた。仰向けで眠る雷太の頬にそっと触れる。想像よりも肌はしっとりとしていた。顎に触れ、唇をなぞった。男らしいふっくらとした唇に自然と唇を寄せてキスをした。
触れるだけのキスでもゾクゾクする。離れることができずにさらに深く、食むように雷太の唇を味わう。ビールの香りがするキスだった。一度触れてしまえばタガが外れたように止まらなくなる。下唇を舌でなぞり、歯列で閉じられていた口内へ舌を伸ばす。さすがに雷太も苦しかったのだろう、眉をひそめてうっすらと目を開けた。でも、もう知られてしまってもよかった。私には、今、このときが必要だった。
「ん、あ……?ち、さ……、んむ……」
キスの合間に覚醒した雷太が声を出す。口づけているのが私だと認識してくれている、千沙と呼んでくれることがうれしかった。
口の中のいたる箇所に舌を伸ばし、口を大きく開けさせて、甘い粘膜を堪能し尽くした。苦悶の表情を浮かべる雷太の表情が蠱惑的だ。酒のせいなのか抵抗しない雷太のシャツの中に手を入れ、脇腹や控えめな胸の尖りに触れる。そこはしっかりと硬くなり、触れてほしいと訴えていた。
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