幼馴染と一緒のお布団で寝ていたら、ちょっと、固いの当たってるんですけど?
幼馴染の翔と噂の検証にやってきた。ある下宿先に年上モテ女の彼女が入り浸っているらしい。幼馴染のよしみでついてきたのはいいんだけど、私眠くなっちゃった。用意されたお布団で眠っていると幼馴染が入ってきて…
潜入して秘密を暴く。
2人のミッションはそれだけだった。
ある下宿所に私の幼馴染である翔の年上の彼女が週末入り浸っている。
そんな噂を聞いた翔は私に泣きついてきた。
「のん!お願い!つき合って!」
もちろん、この『つき合って』とは、噂の下宿へ潜入する、のをつき合って、という意味だ。
「そんなの、ただの噂でしょ?彼女のこと信頼してないの?」
「…心当たりあるんだ。彼女の元カレがそこに住んでるって聞いたことがある」
「…いくら何でも、だって翔の彼女でしょ?」
「ああ、でも最近俺も忙しくて…あんまり彼女に会えてない…」
翔の彼女は交友関係が広いタイプで、放っといたらすぐに男が寄ってくるモテ女だってことは知ってる。
目の前でうなだれている翔の背中が急に可哀想に思えた。
「もう仕方ないな…」
噂の下宿先に現在も住んでいるという知り合いのツテで、一晩だけ部屋を貸してもらえることになったのだという。
翔にしては根回しが早い。
それだけ本気で彼女の浮気を突き止めたいのだろう。
がらんとした室内に1組だけお客用の布団が敷いてあった。
「な、なんで布団だけ??」
「うーん?たぶん、俺の説明が悪かったかも?」
どうやら1人で軽く泊まるだけだと話したらしい。
「おかしいと思った。翔にしてはちゃんと用意したじゃん?なんて期待した私がばかだったわ」
なんて、2人でごちゃごちゃ話していると、ドアの外が幾分騒がしくなってきた。
どうやらここに住む大学生たちが帰ってきたようだ。
週末の金曜日。
みんなのテンションも少し高いみたいだ。
「じゃ、俺ちょっと挨拶してくるから、お前はここで隠れてろ」
パタンとドアを閉めて遠ざかる足音。
私はがらんとした部屋に残された。
ここは空き部屋なのだろう、空調設備や暖房器具も何にも置いていない。
肌寒い今の時期、ちょっと薄着すぎたかも?
なんて思いながら、することもなく、スマホを取り出して布団に潜り込んだ。
*****
なかなか戻ってこないな。
思いながらもウトウトしていた。
翔はどこかの部屋で友達と盛り上がってるのかもしれない。
「やっぱり…私ついてこなくてよかったじゃん」
それならもう寝てしまえとばかりにスマホを閉じて、部屋の電気を消した。
レビューを書く