あらしの夜、彼氏の実家で間違えて弟のベッドで眠ってしまったら…

・作

彼氏の実家へ帰省した夏。台風が急接近して帰れなくなった。その夜家を留守にした彼氏の部屋で眠ったはずなのに、目覚めると私は彼の弟に抱きしめられていて…

「ごめん!美月。俺ちょっと車出してくる」

連絡があったのは、大雨洪水警報が出てすぐだった。

「え…どうしてハヤトが?」

「今、弟起こしにいってみたけど…全く起きないんだよ」

お盆に彼氏の実家へ来ていた。

今日は帰る予定だったけれど、台風の進路が急に変わって新幹線が止まり、帰れなくなったのだった。

私たちと入れ違いに帰郷する予定だった弟の大智くんは、来るなりそのまま部屋で寝てしまっている。

「父さんも母さんも親戚の家でお酒飲んでて、迎えにこいだってさ。ったく、俺たちも酒飲んどいたらよかった…」

予定が色々と狂ってしまったおかげで、先程まで2人でバタバタしていて、ご飯も適当に済ませた。

迎えに行かない理由なんて、幾らでも嘘ついちゃえばいいのに、とも思う。

でも、馬鹿正直で素直なところがハヤトのいいところだ。

「わかった、じゃあ待ってる。お風呂借りるね?」

「うん、ごめんな」

ハヤトが近づき抱きしめてくれる、二人っきりの時のハヤトはボディタッチ多めだから安心する。

「気をつけて行ってきてね?あ、そうだ部屋って2階のどこだっけ?」

方向音痴な私は、部屋数も多く広々としたこの日本家屋で何度も迷子になりそうだった。

「えっとね、階段上がって二番目の左の部屋だよ。先に寝てて、たぶん酔っ払い二人連れて帰るの時間かかると思うからさ」

「わかった」

*****

檜風呂のいい香りの中でゆっくりとあたたまり、激しい雨風の音が遠くに聞こえていた。

広い脱衣所にあったバスローブのひとつを羽織り、階段を上がる。

急に一人になって気が抜けたのか、眠気が襲ってくる。

「今日帰りたかったな…」

二人だけで過ごす1日をこの連休の最後にとっておいたのに。

ぼんやりと考えながら階段を上がった。

「階段上がって二番目の部屋…階段上がって、二番目っと」

ドアノブを回し暗い部屋へ入る。

ところが電気のスイッチが見つからない。

ドア周辺の壁を手探りで探しても一向に触れる感触は無かった。

台風のせいで窓も閉め切っていて、本当に真っ暗だ。

部屋に入るとき、いつもハヤトがさりげなく電気をつけてくれていたことに今更ながらに気づいた。

「うー…ハヤト早く帰ってきて…」

ハヤトを恋しく思いながら暗闇に少しなれてきた目でベッドまでたどり着いた。

このまま眠ってしまおう。

私はふわふわの羽毛布団の中へ滑り込み眠りについた。

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