二度目の初体験

・作

仕事終わりに飯田先輩がカットを見てくれる日なのに、貧血で倒れてしまった。気がつくと、もう閉店でサンドイッチを飯田先輩からもらって食べてると…口で奪われ、そのままキスされた。「三木の胸、柔らかい」飯田先輩のキスと愛撫で、こんなに濡れたの初めて。それなのに、大きなソレが痛くて入らない…。

仕事終わったら飯田先輩にカット見てもらうのに、足元がフワフワしてる。

サプリ飲み忘れてる上に、こんなときに持って来てない。

「フラフラしてるみたいだけど。大丈夫か?」

「全然、平気です」

忙しいのに細かいとこまで見てくれてる。

飯田先輩が担当してるお客様の目線と甘い声。

あ、お客様が紅い顔して…飯田先輩、目当ての方が多い…。

モテるなぁ。

連休なので、驚くほど忙しい。

あ、お客様のお会計…。

「ありがとうございま…」

ダメだ…。

脚に力が入らない。

全然、平気じゃない、目開けてるのに真っ暗だ。

*****

あぁ…。もう閉店してる。

シャンプー台?え、なんで?…私、倒れたんだ。

あ、飯田先輩に頬染めてたお客様で最後だったんだ。

「起き上がって大丈夫?」

「飯田先輩、すいませんでした!」

シャンプー台から降りて、頭を下げた。

私のこと、シャンプー台に乗せてくれたのかな?

太ったから、重かっただろうな…っていうか恥ずかしい。

「謝らなくていいって。カット、また今度な」

これ、と言って渡された紙袋。

たまにしか食べない、私の好きなサンドイッチ。

「あとで払います」

「いいよ」

鉄分が入っているジュースとサンドイッチ。

もしかして飯田先輩、覚えて…なんて思いながら、休憩室に行こうとしたら腕を引っぱられた。

「ねぇ、なんで三木、彼氏いないの?」

飯田先輩とプライベートの話するの貧血のこと以外で初めて。

で、いきなり彼氏の話ですか…。

飯田先輩は、キャスター付きのスツールに座り、コンビニのおにぎりを食べている。

「…飯田先輩とそんな話、したことないですね」

「いるの?三木、お客さんから評判いいんだぞ。そっち座りなよ」

「そうなんですか?」

「鈍感だな。で、彼氏は…そっか、いないな」

飯田先輩はクスクス笑って、紙パックの緑茶を飲んでる。

喉仏が、上下に動いている。

きれいな横顔だな…。

「評判いいって…そのお客様よかったら教えて…って、そんな冗談です。ダメなの知ってま…」

「教えるのはいいけど、俺、めちゃくちゃ邪魔するけどいいの?」

邪魔?私の恋愛を邪魔?

先輩はずっと私を見ながら、おにぎりを食べ終えて、お茶を飲んでいる。

「食った?」

「まだです。先輩、帰らないんですか?」

スツールに座ったまま歩き、私の横に来た。

同じスツールに座っている私を引き寄せて近づける。

飯田先輩の視線が熱いほど、私を見ている。

「帰るわけないでしょ。三木のこと心配だし、誰もいないし…早く食べて」

「人に見られると、食べるの遅くなるんです…」

「もうー。あと3分で全部食べて、これパワハラ」

「なんで、そんな急いでるんですか?」

飯田先輩に言われるんだもの、食べるスピードが上がる。

「食べたら教える…」

え?

私が口にくわえてるサンドイッチ…飯田先輩に、唇で奪われた。

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