高熱は媚薬
企画見てほしいって言った期待の新人、小林くんから風邪の連絡。食べ物なくて困ってるってマンションの地図を送ってきた。「マナミ先輩、看病しに行ったの覚えてますか?」覚えてる、だからすぐ帰るんだよ…。高熱で理性を失った小林くんに捕まり、玄関で私のあそこを舐めはじめる姿が鏡に映る。”あの夜”が蘇り小林くんに淫らにさせられる。
清涼飲料水、風邪薬、あと…痛み止めに、あ、ゼリー飲料。
さすがに2リットルのペットボトルは重い。
「ずみまぜん、ゲホッ。風邪みたいで…」
「熱は?」
「体温計どこ行ったか、わかんなくて…」
「仕事できるって言っても、自己管理も仕事だよ?」
「あい…本当にずみま…」
頭にきて、途中で通話を切った。
企画を見てほしいって頼まれて、仕事終わり会議室で待ってたら。
期待の新人なのに、なんかちょっと抜けてるっていうか、天然なんだよなぁ。
『実は、食べる物なくて困ってます』
小林くんから、ほしいものリストが送られて、買い物を終えマンションに向かった。
ちゃっかりしてるよ、マンションの地図まで送ってきて。
インターホンを鳴らすと、どうぞ、と電話で話したときより弱々しい声がし、エレベーターに乗った。
「小林くん?」
ドアを開けながら玄関から声をかけたけど、真っ暗で返事もない。
「お邪魔…します…。小林くん、大丈夫?」
間接照明に灯された小林くんは、マスクをし羽毛布団にくるまっている。
「ぜんぱい、ずみまぜん…」
ドラッグストアで買い物したマイバックから、体温計を出し手渡した。
布団からにゅっと出た長い指が震えてる。
「痛み止めないの?」
キョロキョロと部屋を眺めると、小林くんのように小奇麗に整頓されている。
「風邪なのに、なんで痛み止めなんです?」
ピピピピッ。
「今、身体、痛いんじゃない?そういうのにも効くんだよ。熱は、どう?」
こういうとこが抜けてるんだよね…。
被っている布団から、体温計を出して見ている小林くんは、メガネを掛けている。
初めて見るメガネを掛けた小林くん。
「38度6分みたいです」
「そんなにあるの?…さっきのほしいものリストだけど…」
「…ありがとうございます。でも、食欲なくなっちゃって…」
メガネの奥から、私をジッと見ている。
「…でも、これだけは飲んで、薬飲めないから」
メガネで、髪もサラサラしてて…いつもと全然違う…。
ゼリー飲料を差し出すと、蓋を開け口に入れ一気に飲み下すと、グシャと握り潰した。
色白の顔が真っ赤になっている。
「薬、ドリンクと一緒に飲んだほうが効く…ちょっと待って、なに考えてんの?」
強い力で腕を引っ張られ、布団に引き込まれた。
「マナミ先輩…僕、ボーっとしてます…」
バッグハグをされている背中が熱い。
腕を解いて布団から出ると、移りますもんね、といじけたような口調で言い、ドリンクを開け薬を口に入れた。
「じゃあ、ちゃんと休んでね」
「先輩、看てくれないんだ…僕はちゃんと看病したのに」
ゴクゴクと喉仏が動いているのが、ぼんやり見える。
「おとなしく休ん…」
「おとなしくできるわけないじゃないですか」
とろんとした目をした小林くんに、私は押し倒された。
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