行きずりでも濡れるココロ (Page 2)

「…ね、が…」

「ん?」

口を手で抑えながら囁く私に、彼が立ち上がって耳を寄せてくる。

「お願、い…シャワー、行、かせて…」

それだけ言うのが精一杯。ぽろっと涙まで溢れてしまう。

だって、あんまりにも気持ち良すぎてしまったから。

舌と指で、彼がどこをどうしたのかよく分からなかったけど、今も膝に力が入らない。

心臓まで震えてる。

何、したの。私に。

「駄目」

「え?」

少しだけ私をじっと見てたかと思うと、いきなり抱き上げてきた。

「やっ!」

ガクッと重心を失って思わず悲鳴をあげる。

「下ろして!一人で行けるってばッ」

「駄目だよ、シャワーなんて」

「ちょ、やだッ、嘘?!」

彼が向かった先はバスルームではなく、ベッドだった。ばふっと降ろされてそのまま覆い被さってくる。

膝に下着が絡んでる私は上手く体を起こせないまま、彼に体を裏返された。

「あっ」

シャッと一気に下ろされる背中のファスナー。引っ掛かることなく腰まで下ろす手つきが手慣れてる。

あっという間にブラのホックまで外されて、服の隙間から手が忍び込んできた。

「あ、だ、駄目っ」

皮膚の弱い部分を狙って触れる手の熱。

脇から辿ってきた指が胸の膨らみを掴み、乳首にまで触れてきた。

「──ッ!!」

イタズラするように指がいやらしく動く。

きゅっと小さくつまんだかと思うと、離し、指先でクリクリといじって、優しげにこすられた。

指の腹で柔らかく先端だけを撫でたかと思えば、またキツくつまんでの繰り返し。

何なの、これ。

初対面のバーのカウンターで、私に見せてきた、さわやかさとか、物腰の丁寧さとか、そういうのを全部脱ぎ捨てたかのようないやらしい動きをしてくる彼の指に、私は何もできなかった。

「あ、ぁんッ、あんっ、ぁ、やだ、や、」

「いやらしい声」

「乳首、やめてっ、そんな、も…ッ」

「真美さん、ホントはこういうの、好きなんでしょ?俺にちょっと舐められただけでこんなびしょびしょになっちゃうし、乳首なんて指でいじってるだけじゃないですか」

「ちが、や、ほんとに…も、ムリ…」

乱されたスカートの中に手が入ってくる。サラッと腰に手がかかったかと思うと、お尻に何かが触れた。

「…すみません、俺ももう、無理、かも」

え?

「…ッ」

荒い息が首にかかって、膝を開かされる。四つん這いになった私に彼が、触れた。

グジュ、と生々しい音。濡れた感触が体を伝って響いてくる。

「ああッ?!」

「…き、っつ…」

粘膜を分け入ってくる彼のペニスの感触が、ひどい。

強烈な熱と、キツい摩擦に息まで止まりそう。

「真美さん、ちょっとゆるめてください…キツいんで…」

知らない。できない。

だって何も分からない。

こんなの、知らない。

セックスって、こんなに頭も体もいっぱいいっぱいになってしまうものだったの?

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