アシスタントこのみの一日出張秘話。予期せぬ嵐で先輩とビジネスホテルで素敵な一夜を。 (Page 4)
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うす暗いベッドに脱いだまま置かれた、私のグレーのスーツやワイシャツ、タイトスカート、赤色のブラが私の一夜を見ていたかのようでした。
それは、普段の私の姿を思い起こさせる、清廉で高潔なオフィスレディを暗示するアイテムでした。
そして、私にはかけがえのない青春の証拠であり、私が私でいることのできる自我同一性を蘇(よみがえ)らせるのでした。
「私はいまもここよ…」
「う、うん」
少しためらいながらも、頷(うなず)く彼でした。
「いい夜だった…」
「私もよ…」
「君も俺もまた元の世界へ帰るんだね」
「大丈夫よ、私はいつもここにいるわ」
「……」
彼は少し泪ぐんでいました。
ひびきは、強いこのみに惚れているのでした。
「素敵な夜をありがとう、このみちゃん」
「わたしもうれしかったわ、ありがとう、ひびき」
「また、よかったら…」
彼のまなこには少し泪が浮かんでいました。
「そうね、その時にはまたよろしくね」
自然界が偶然の嵐で吹きすさぶように、人工の自然である社会も必然の嵐で満たされているのでした。
「明日になったら、また普通の二人よ」
「わかってる…」
「ワンナイトの二人だけの秘密よ…」
「このみちゃんもいつまでも負けないでいて欲しい…」
次の瞬間、薄暗かったホテルの一室は、真新しいルームライトで明るく照らされ、ひびきが気づいたら、きちんとした元のOLの姿に正装している胸きゅんのこのみの姿がありました。
「ほら、どう、このスタイル」
愛らしい笑顔で微笑むこのみは、一夜のことはどこへ行ったのかと思わせる無邪気ぶりでした。
「ばっちりでしょ!」
このみのあまりに美しく輝かしい姿に思わず目のやりどころに困る彼でした。
さっきまで泪ぐんでいたひびきの表情は、満面の笑顔で溢れていました。
「また、明日から頑張るぞ!」
このみの無垢で汚れをを知らない可愛い声に励まされるように彼はしばし意気込んでいました。
「そのとおり!」
「その調子!」
ホテルの大きな窓からは、嵐の一夜を思わせない、紺碧の青空が空を覆う、さわやかな朝の風景が広がっているのをみることができました。
街並みの遠くの空との境には、まばゆい旭日が登り始めていて、空に浮かぶ雲は、二人をあい結ぶハート形のようにモクモクと形を作っていました。
そして、その雲は一夜の二人の愛情を象形するかのように艶やかに見えていました。
Fin.
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