女っ気がない草食男子のゼミの男友達のオトコの一面を見せられた件について
いつものゼミの飲み会。彼氏ほしいな~なんて会話をして解散したら、草食男子の友達が終電を逃して泊めることに。「一人暮らしの部屋に気軽に上げていいの」なんて注意をあしらっていたら「俺は女性として意識してるよ」なんて押し倒されちゃった……!?
今日はゼミの飲み会で、6人くらいで学校終わりにターミナル駅の格安居酒屋に集まった。
決まりのお店で、パサパサの焼き鳥や薄いお酒が並ぶテーブルで話が弾む。お店を選ぶ基準はアクセスの良さと安さだけだ。
「あ~、明日はせっかくの土曜日なのにバイトだ」
梅酒ソーダ割を飲みながらため息をつくと、仲良しの真由美が悪戯っぽく笑いかけきた。
「綾香はいまフリーだし、稼ぎ時じゃん」
他の友達たちもそうだそうだと悪ノリではやしたてる。
「……綾香ちゃん、別れてどれくらい経つんだっけ?」
いつもは大人しい草野くんが控えめに話題に入ってきた。うちのゼミは文学部英文科なので女子比率が高く、今日の飲み会も男子は草野君1人。
女性陣に違和感なく溶け込める、おっとり品行方正な草食系の男友達だった。
「うーんと、そろそろ半年かな」
何気なく返事をした。恋が多いタイプではないので、フリーでも楽しめるが次の出会いは求めている。
「いい人いないの?」
真由美がすかさず尋ねてくる。
「マッチングアプリは登録したよ。他大の人とやりとりしてる」
えー、みたみたい。どんな人、と皆してはしゃぎ、これ以降ずっとこの話で持ちきりだった。
*****
「あっ!!」
解散ののち、一人暮らしのアパートの最寄り駅まで地下鉄で移動しているタイミングだった。
同じ方向の草野君がスマホを見て声を上げた。
「え、もしかして終電逃した?」
私の問いかけにコクコクと頷きながら、猛烈に漫画喫茶を検索していた。
草野君は実家暮らしで、他県から通学している。地下鉄と電車を乗り継いでいて、たまに終電を逃しては複数人で1人暮らし勢の部屋に泊まっていた。
私の部屋も例外ではなく、ゼミの仲良し初期メンで女複数人と草野君1人や、もう1人草野君と仲がいい男の子で泊まることもあった。
複数で泊りといっても何もなく、プラトニックなお友達のまま男女付き合いができて居心地がよい関係だ。
「ウチ泊まる?」
「いや、今日は俺1人だし流石に申し訳ないよ。いま漫画喫茶探しているから…」
そうこうしている間に私の最寄り駅に停車する。
お互いに真面目に授業に出ているので、バイトに割く時間は多くなく給料もたかが知れている。漫画喫茶で一泊する料金も痛手だろう。
「着いちゃったよ。バイト代痛手じゃない?」
いつもの泊りと同じでしょうと考えて誘ったが、ありがとうと呟いて一緒に改札を抜けるときの草野君の表情は固かった。
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