40歳手前のひとり夜、指が蜜を呼ぶたびに架空の彼の声が聞こえる気がした (Page 3)
指を中に入れたまま、もう片方の手で、上の固くなった粒を強く、激しく焦らすように弾く。熱い波が何度も押し寄せ、背中が勝手に跳ね上がった。
「ぁ、ん! みうら、さん……ダメ、そこ、ひぃく……っ!」
架空の彼が、耳元で愛おしそうに囁きながら、もっと激しく私を貪っているような錯覚に囚われる。脳内が三浦さんの声と笑顔で満たされ、限界まで引き絞られた弦のように、体の奥がわななき始めた。
指を激しく出し入れするたびに、くちゅくちゅ、じゅぷ、と淫らな音がシーツに吸い込まれていく。
「…っ、あ」
膝が曲がって、腰が浮く。シーツを握る手に力が入る。体の奥の方から、なにかが急速に高まってくる感覚。大きな波が来た。背中が反って、全身が強張って、一瞬だけ、世界が消えた。激しい痙攣が指を締め付け、何度も熱いものが溢れ出た。
絶頂の余韻の中で、私は天井を見つめた。
体の力が抜けて、ベッドに沈み込むような感覚。気持ちよかった。それは確かだった。でも。
「…なんか、虚しい」
声に出すと、余計に虚しさが増した。隣に誰もいない。温もりを分け合える人がいない。自分の体を自分で慰めることしかできない夜が、もう何十回と続いている。しかも三浦さんのことを考えながらするなんて、明日どんな顔して職場に行けばいいんだろう。罪悪感が、体の余韻とぐるぐると混ざり合った。
いつからこうなったんだろう。仕事は好きだ。ログインして夜、一人でいるとき、なんのために頑張っているんだろうって思う。昇進しても、給料が上がっても、それを喜んで話せる人がいない。誰かに「よかったね」って言ってもらえる人がいない。体の温もりも、心の温もりも、どちらも足りていなかった。
「誰かに、会いたいな」
38歳の私は、暗い部屋の中でそっとつぶやいた。体だけじゃなくて、心も、誰かを求めていた。
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