彼女をキュンキュンさせるために練習台を引き受けたけど、彼に密かに片思いしてる私は複雑です。 (Page 2)

まず一つ目は『頭ぽんぽん』

「よし、行くぞ?」

「奏多、その掛け声はマイナス」

「わ、わかった…」

彼の手が私の頭を優しくぽんぽんした。

「ん〜、なんか違うなぁ」

「え?じゃあ、こう?これは?」

奏多はあれやこれやと角度や強さを変えて頭をぽんぽんとしてきた。

「全然ダメ。私がやってみせるから、真似してみて!」

私は彼の横にピッタリ座り、彼の目を見つめながらニコリと微笑んだ。

「頑張ったね、奏多…えらい」

優しく髪を撫でるように頭をぽんぽんとした。

私はパッと手を離し、奏多に感想を求めた。

「どう?上手じゃない?今の」

「すげー、お前女優になれんじゃね?」

二人でハイタッチをして盛り上がる。

そして二つ目は『バックハグ』

奏多は目を逸らして、口元を隠している。

「え?何その反応」

「…したことない、いや、出来そうにない」

「嘘でしょ…じゃあなおさら、やるしかない!ほら、やってみて」

私は彼に背をむけハグを待った。

彼の緊張した息遣いが聞こえ、彼の腕が首元に巻きつく。

「…どう?」

彼の声が耳の奥まで響いてくるようで、気をそらそうと笑って誤魔化した。

「ん~奏多の緊張は伝わってくる、かな(笑)」

平気なふりをしても、鼓動は正直に早鐘を打っていた。

不意に彼の腕が解かれ、内心ホッとする。

「じゃ、私のお手本ね」

私は自信ありげに言い、彼に後ろを向いてもらった。

彼の広い背中には、頼りなさとたくましさが混在していて可哀想なような愛おしいような妙な気持ちになる。

「…背中に哀愁漂わせるのずるいよ?」

私はつぶやいて、そっと彼の背中に指を這わせた。

思い切って両手を広げ、きゅっと抱きしめる。

「…奏多」

思わず漏れ出た心の声が思ったより甘く響いて、私は彼のことがまだ好きなのだとわかった。

ハッと我にかえり彼の横顔を見ると、さっきよりもっと耳が真っ赤になっている。

「え…もしかして、キュンとしちゃった?キャハハ」

気まずくなりたくなくてはしゃいでみせた。

それでも沈黙が怖くて、机の上に残っていた缶チューハイをプシュッと開けて一気に流し込む。

「いや、今のはやばい…」

まだ耳を赤くしたままの奏多が言う。

「やばい…ね?…あーお酒なくなっちゃった。冷蔵庫にあったかな?」

立ちあがろうとしたその時、私の手を奏多が掴んだ。

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