可愛く甘えてきていたはずのワンコな後輩は実際手の付けられない猛獣だった (Page 2)
5分後、駅に着き一緒に切符を買ったんだけど…
「え、いやいいよ梶野くん!そのまま帰りな!」
「何言ってるんですか。そんな格好で駅から家まで歩くなんてアホですか。送ります」
別の方面に家があるはずの梶野くんが、私を送ると言って聞かない。
私に自身のジャケットをかけてくれた梶野くんは…
「だめです。その…言いづらいですけど中身の透ける格好で夜道は危なすぎます」
少し顔を赤くしてそのまま私を電車内に押し込んだ。
周りには人も多いけど、びしょ濡れの私達をチラチラ見てくる人もいて…
「男なんてそんな格好簡単にあてられます。大人しく送られてください」
梶野くんが周りの視線から逃がすようにドアとの間に挟んで私を守ってくれた。
電車を降りて、まだ降り続く雨。
駅内のコンビニに寄って傘を買おうとしたけど、この雨のせいで残る傘はひとつ。
梶野くんはいいと遠慮してたけど、私は強引に傘に入れて家に向かった。
「それじゃ、今日はありがとうございました」
「っちょ!待って梶野くん!そのまま帰ったら風邪ひくでしょ!あたしの兄のがあるから、お風呂入って着替えていって!」
鍵を急いで開けて梶野くんを招き入れる。
「いやいや、帰りますって!」
「いーの!ほら早く!」
先に入ってもらおうとお風呂場に連れていこうとしたけど、私が先に入らないと入らないなんて言われてしまって、渋々言う通りに先にお風呂に入らせてもらった。
お風呂を交代する時、梶野くんの顔がちょっとこわくてビックリした私。
いつもニコニコで怒ったところなんか見たことがない私。
いや、社内でも見たことある人なんているの?ってレベルだ。
もしかして潔癖とかかな…だとしたら悪いことしたかも…
不安にはなったけど、とりあえず着替えとタオルを出して洗濯機に突っ込んでもらった服を急いで洗濯乾燥にかける。
「藍沢課長、お風呂も服もありがとうございました」
「あ、服が乾くまでもう少し待ってね!はいこれお水」
…やっぱりどこか仏頂面な梶野くん。
「あの…ごめんね強引にお風呂入らせちゃって…もしかして潔癖だったかな…?一応掃除はいつもしてるんだけど、嫌だったよねごめん」
「…はい?俺、別に潔癖じゃないですよ」
「だって怒って…」
キョトンとした後、信じられないとでも言いそうな彼の表情。
はーとため息をつかれて…
「あのですね。好きな人の透けてるシャツ見ただけでも大変なのに、その人の一人暮らししてる家で同じ服の匂いに包まれちゃうってなんの拷問ですか。いくら何でも、簡単に家に男上げすぎです」
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