何を考えているかわからないと思っていた先輩の心の声は甘々でした (Page 3)

「長かったな桃矢」
「…ん、ああ。取引先から少し電話かかって来てな」

取引先って、まさかさっき本当は作業も終わってなかったんじゃ…

「急ぎのもんでもないただの確認電話だから気にすんな」
…エスパー?
と思ったら、竹田さんはさっきの薬の入ったグラスに口をつけてしまった。

「…?なんか入れた?甘くね?」
「砂糖を少し入れてみたのに分かったのかよ。面白くねーなすぐ当てやがって〜」

やり取りを聞いているだけだけど私は心臓バクバク。
ただ、私の心配とは裏腹にそれから暫くは何も変わらなかった。

「…なー、桃矢お前まだ彼女できないの?」
「いねーな」

まだって…長い間恋愛してなかったのかな?
まあ、仕事もいつも忙しそうにしてたしな…
そう思いながら竹田さんを見ていたら…

「んなかわいー顔してこっち見んな」
「えっ!?」

あまりに唐突な竹田さんの発言に驚いていたのは私だけじゃなく…
竹田さんも本人も目を見開いて口元をおさえていた。

「ふーん。なになにそういう事ね。口説きたくて自分から夏菜子ちゃんを連れ出してきたのか」

ニヤニヤした文哉さんが竹田さんをつっつく。
「そりゃ惚れてるからな、って…文哉お前…何混ぜやがった!?」

まだ目を見開いたままの竹田さん。
私も信じられない光景に驚きが隠せない。

「よーし、今日はお代いいよ。お前の応援ってことで。…あっ、それね、言い忘れてたけど媚薬効果もあるぜ。体ちょっと熱いだろ?キツくなるだろうから早めに出ろ?」

ニヤニヤしてとんでもないことを言い放つ文哉さん。
言われてみれば竹田さんの目元が少し赤い…

チッと舌打ちをするものの何かに耐える様子の竹田さんに、効果が本当に出てるなら早めに休ませてあげないと…と思ってスマホで急いで探す…

「た、竹田さん、家近いですか!?」
「…いや、4駅はある」

「体、きついんですよね…着いてきてください!」
「は、?」

*****

「おい!俺は1人でいいからお前もう帰れ!」
「…体キツイって…大丈夫なんですか?」

「バカか何するかわかんねーから言ってんの!早く帰れ!」
「今日は…私元々1人になりたくなくて社に戻ったんです。だからいいです」

「…は?」
「…っ、もういいです!行きますよ!」

…ゴニョゴニョ言う竹田さんを連れて勢いでラブなホテルの一室に入ってしまった。
「…ははっ、実はあのお薬の効能に興味もありまし…て?んっ」

部屋に連れ込んだものの、恥ずかしさが込み上げてなかなか竹田さんの顔を見られなかった私は、上を向かされた次には唇が覆われた。

お酒の味に、少しの甘み。
なんだか、少しずつ流れ込んでくる唾液が甘い。

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