何を考えているかわからないと思っていた先輩の心の声は甘々でした
彼氏に振られ一人でいたくなかった夜。会社のカッコイイけど無口で女嫌いそうな先輩につれられバーに!?先輩の友達のマスターが面白がって本音を言ってしまうという薬を先輩に飲ませてしまって…抑えられず零れる先輩の甘い本音と巧みな責めに翻弄される夜!
「はぁ…まただ…」
もう何度目か分からないため息をつきスマホをバッグにしまってトボトボ歩みを進める。
私は夏菜子。
26歳のOL。つい先程彼氏に振られた。
【ごめんもう無理。別れよ。お前何考えてるか分からなすぎる】
これだけを。会いもせずメールで伝えられた。
夏菜子はモテる。
長身の割に体は華奢で童顔。出るところは出ている。
童顔のおかげで人見知りで無口でも冷たくは見られない。
彼氏ができてもいつも言われる。
何を考えてるのか分からない、つまらない、と。
誠実そうで、この人ならゆっくり愛も育めるかと思ってたのにな…
あーもー考えたくない!
涙が滲むのが嫌で、背筋をしゃんとのばし踵を返した私は会社に戻った。
*****
「好きなスパサラも買ったし、よーしやるぞー!って、あれ?竹田さん?」
「あれ、間宮帰ってなかったっけ?」
オフィスには1人でパソコンと向き合っていた3つ年上の先輩社員の竹田さんがいた。
ボードを見る限り、他の人はもう退社したみたいだ。
「あ…えー…来週使う資料早めに作りたくて、戻ったんです…」
「…それ、今日も作っててあと少しで出来上がるやつだろ。課長にチェックしてもらってるの知ってるぞ」
「…」
訝しげに見てくる竹田さんに、言い訳が見つからない。
「スパサラか…見たら腹減った。スパサラが美味いバー知ってるから行くぞ」
「えっ、でも竹田さん作業中じゃ…」
「もう終わって帰るとこだった」
有無を言わさずフロアの電気が切られた。
そしてオフィスから出て徒歩10分。
「いらっしゃいませ、って、あれ?桃矢が人連れてきた!?」
「…うっせー」
驚いた顔の男性がカウンターの中にいる。
きっとマスターなんだろうな。
「さぁさ!座って座って!何飲まれますか?」
「あ…あんまり甘くないの、オススメのお願いします」
促されるままカウンターに座る。
他にも数組お客さんがいて、それぞれ楽しそうに談笑していたり1人で満足そうにお酒を飲んでいる。
手早くお手拭きやお通し、お酒も出してくれたマスターさんは裏の厨房に消えた。
竹田さんの注文は聞かなくてもお酒が出てきてたから常連なんだろうな。
か、会話しなきゃ…
「今日、こんなオシャレな所に連れてきてくださってありがとうございます」
「かしこまりすぎ。んな固くならないでいいよ。それと…ここ、社の他の奴には教えないでくれな」
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