犬系男子の飼い方 (Page 2)

「おいで、みさきさん」

獣の顔を隠して微笑むるいくんに逆らう術なんて、持ち合わせていない。

彼に誘われるまま脱衣所に移動すれば、やけにゆっくりとした動きでワンピースのファスナーを下げられて、下着も、ストッキングも、すべて彼の手によって剥ぎ取られ洗濯機の中へとダイブ。

対する彼は自分の着ていた服を乱雑に脱ぎ捨てて、浴室のドアを開ける。

「シャワー、熱かったら言ってくださいね」

「ん、平気」

驚かないように爪先から徐々に上がってきた水圧に、ぶるりと身体が震えた。

腰に手を添えられて逃げ場なんてないのに、押し付けられた硬いものが気恥ずかしくて強く目を瞑る。

純情ぶったところで、今更なのに。

「ひあっ」

突然ぬるりとした何かが身体を這って、それがボディソープと彼の手なのだと理解するまでに少しだけ時間が掛かった。

丁寧すぎるくらい隅々まで彼の手が滑り、時折敏感なところに触れては確実な刺激は与えてくれない。

跪いたるいくんの太腿に足を乗せて、指の隙間まで丁寧に洗われた後、ようやくシャワーで泡を流す。

これだけでもう呼吸が苦しいのに、忠実な彼の「恩返し」はこんなものじゃない。

私を浴槽に浸からせて、ガシガシと自分の身体を洗った後、るいくんも浴槽に浸かる。

溢れたお湯が排水溝へ流れていくのを見つめていると、首筋に、そして肩口に舌を這わせられ肌が粟立つ。

唇で食み、舌を這わせ、時折歯を立てる。

決して痕をつけようとはしない彼をもどかしく思いながら、上昇する体温に逆上せそうになったところで、浴槽の縁に腰掛け、壁に背を預けるように座らされる。

幅の狭い縁では心許ないけれど、そんな心配はすぐに無用だと思い出す。

「脚、自分で開けますよね」

浴槽に浸かったままの彼が、有無を言わせない声色で見上げてくる。

おずおずと脚を開けば、間に入り込んだ彼の身体のせいでもっと開く羽目になってしまった。

電気も点いているのに、これでは丸見えだ。

「これ、お湯じゃないですよね」

嬉しそうに微笑み、とろりと溢れた言い逃れできないその蜜に唇を寄せる。

息が掛かるのがくすぐったくて、もどかしくて、壁に背中を押し付けることでやり過ごす。

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