私だけが知る、上司の夜の顔 (Page 2)

「お待たせしました、ヴィンテージの白ワインです」

「ああ、ありがとう。七瀬、口に合うかな」

「……ええ、とても美味しいです」

居酒屋なんてとんでもない。

あの衝撃的な告白を受けてからというもの、こうして高級レストランに連れて来られては、お高そうなワインを開ける。

けれども帰りは必ず社長が家まで送ってくれるから、飲むのは私だけ。

そんなにお酒に強くないから一本も飲めないと言えば、

「俺のおすすめだから七瀬に飲んでほしくて……飲めるだけ飲んでくれればいいんだ。一杯だけでもいい」

なんて切なそうに微笑むから、最近の週末はいつだって二日酔い。

だけど、今日は違った。

「グラスをもうひとつ貰えるかい」

ソムリエに声を掛けた社長を見て、その時を感じ取る。

付き合ってもう一か月。

お互い子供じゃないのだし、そろそろそうなってもおかしくない。

それどころか、元々お互いを知っていて恋人になったことを考えれば、遅いくらいかもしれない。

「七瀬、ちょっと酔ったんじゃないか?上に部屋を取ったから、少し休むといい」

そりゃあれだけワインを飲めば酔うだとか、社長の作る雰囲気に酔ったとか、そんな文句を言おうとしたけれど、彼に手を取られて立ち上がった足元が覚束なくて、言うのを止めた。

エレベーターの中で腰に腕を回されて、天に届きそうなくらいぐんぐん昇る。

ドアを開けて部屋に一歩入ると、今しがた閉めたばかりのドアに押し付けられた。

「七瀬……」

熱っぽく私を見つめる社長が愛おしくて、スーツにしがみつく。

すぐに唇が押し当てられて、逃げ場のない私はそれを甘んじて受け入れる。

お酒の所為か私も社長も熱くて火照っていて、お互いの服を脱がせようと唇を合わせたまま指先を動かす。

「社長、シャワー……」

「すまない、待てそうにない」

普段厳しい顔をしている社長が切羽詰まった表情をしている。

その視線の先には、私。

私がそうさせているのだと知って、ぶわりとさらに身体が熱くなるのを感じた。

その時、やっと自分のスーツの中に着ていたブラウスのボタンがすべて外されていることに気がついた。

「あ……」

「続きはベッドで、な」

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