私の彼氏は女装癖
彼氏は女装癖のある男だ。スキンケアも丁寧に、化粧もバッチリで、とても整った顔立ちをする美人である。あるときいつも通り二人で洗濯物を畳んでいると、責めた下着を見られてしまう。問い詰められ、渋々誘うためだと白状すればそのまま体に触れられ…スカートから覗く太い竿に激しく抱かれてしまう。
「このタレント前にも浮気してなかったっけ?」
缶ビールを片手に夜のニュース番組を見ていた和泉がぼやく。
テレビの向こうでは謝罪会見を行っているタレントがちょうど頭を下げているところだった。
こういう情報は一体どこから漏れるのだろう。
マスコミが年がら年中タレント全員を追っているのだろうか、大変な仕事すぎる。
などと他人であるのをいいことに考えていると、自室の方から声が聞こえた。
「ちょっとー! テレビ見てる暇があるなら手伝いなさいよ!」
聞き慣れた声に反応し、和泉は缶ビールを置いて自室に向かう。
扉からひょっこりと顔を覗かせれば、そこにはブロンドの髪を綺麗に巻いた美人が洗濯物を畳んでいた。
気高そうな見た目に反して洗濯物をせっせと畳んでいる姿はなんだかシュールだ。
「うっわ、洗濯物多い。どうしたのこれ」
「アンタが溜め込んだんでしょ!」
和泉は美人の隣に座り洗濯物を畳む。
チラリと目を向ければ、相も変わらず整った顔がそこにある。
だが、タイトなスカートを履き、バッチリとメイクをしているこの美人は紛れもなく男であるのを和泉は知っている。
それどころか彼は和泉の彼氏で、半同居しているほどの仲だった。
出会った当初はもはや憧れの女性のような目で見ていたが、好意を伝えられてから今ではすっかり愛しい彼として見ていた。
「定期的に畳まないから溜まるのよ。毎日一回してれば十分で終わるわ」
「その十分が億劫で…」
「そこは気合いでどうにかしなさい」
「無茶言う〜」
お互い気軽に言い合えるのが心地よい。
彼と一緒に服を選べるのも、メイクの話もできるのが楽しく、彼の女装癖にはかなりお世話になっている。
その上目の保養になるのだ、ありがたいことこの上ない。
「アンタ、これ…」
考え事をしていると、彼の驚くような声がした。
洗濯物を乱雑に畳みながら彼の視線を追う。
すると彼の手には真っ赤な布が持たれていた。
布の面積が少なく、両サイドが紐で結ばれている。
そう、この前買ったばかりの下着だった。
「うぉおおおおお!?」
雄叫びを上げながら彼の手から奪い取る。
やってしまった、忘れていた。
これは隠しておくつもりだったのに、もう手遅れだ。
冷や汗をダラダラと流していると、彼に肩を掴まれた。
「アタシ見てない! 見てないわよ!? なによそれ! 浮気!?」
「う、浮気じゃない! じゃないけど!」
「けど何よ!」
グイグイと前のめりに責められる。
なにかいい言い訳はないかと考えを巡らせるも、うまい理由が思いつかない。
隠し通せる雰囲気もなく、和泉は下着を後ろに隠しながら渋々と口を開いた。
「こ、この前の、デート…で…き、着てた…けど…ホテル、行かなかった、し…」
そう、これは浮気でもなんでもない。
ただ前回使わなかっただけだ。
それを自ら申告する羽目になるとは、なんという罰。
なんだか沸々と怒りが湧いくる。
和泉は彼を睨みつけた。
「ああ! もう! 私だけヤる気あるって思われたくなかったのー! 察してよ!」
立ち去ろうと立ち上がるも、その腕を掴まれてしまう。
その上、手を引かれればすっぽりと彼の胸に収まった。
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