好きになってしまいそうなセフレの年下くんにもう会わないと決めたんだけど…

・作

マッチングアプリで知り合った年下の男の子は、犬系男子の可愛い子。お互い割り切った関係で1年。行為中の発言に心がうずいて仕方がない愛奈は好きになる前に彼と距離をとろうと決めたのに、彼から熱烈に愛されてしまう。

毎週金曜日0:00が私たちの待ち合わせの時間。

場所はシティホテル。

セフレのリクは年下の21歳。

マッチングアプリで知り合って、お互い同意のもとセフレになったのはいいけれど、もう一年近くこの関係が続いていることに私は危機感を感じていた。

これ以上一緒にいたら好きになってしまう。

そんな危機感だ。

「ごめん、急用で今日は行けそうにない」

仕事をすませ、人の少なくなった社内でリクとの約束をキャンセルした。

断るのは先週に続けて二回目だ。

「OK連絡ありがと。じゃあまた」

簡素なやり取りはいつものこと。

もう会わないほうがいい、そう思ったのは先月。

*****

「ん…ん、ああ、きもち…愛奈…好き…す、き…はぁ…ん」

リクの喘ぎ声に混ざる「好き」

雰囲気や気持ちの高まりで言ってしまっているんだろうけど、視覚的な彼の切羽詰まった表情や可愛さにほだされて、この頃キュンとしてしまう自分を抑えられなくなってきている。

彼のセフレたちはどうやってこの危機を乗り越えたんだろう?とぼんやり思いながら、これ以上は無理だと思うのだった。

だけどどうしても、きっぱりセフレ関係を解消しようとは言えないまま月日は過ぎていった。

そのことが余計に、リクに恋愛感情を持ってしまっている証拠のように思えて焦る。

セフレに恋愛感情を抱いたのは初めてだし、それどころか誰かを好きだと思うことなんていつ以来だろう。

それでも思っていた。私に彼氏は必要ない。

私が男に求めるのは特定の存在なんかじゃなく、体の関係だけの存在だ。

そのほうが、無駄に消耗しなくて済む。

いつからかそんな関係を望むようになったのは、高校から付き合っていた彼氏と大学生のときに別れたことがきっかけだった。

今では、あの頃どんな風に傷ついて彼氏なんか一生いらないって考えに至ったか、なんてことはもうおぼえてないけど…とにかく、リクとは冷静に向き合えるまで距離を置こうと思っている。

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