同期にハブられて落ち込んでたら、素敵な先輩カップルに可愛がられて幸せになった話

・作

OLの華(はな)は、新入社員研修中にできた彼氏に二股をかけられていたことが原因で、同期にハブられてしまっていたが、研修の教育係だった智文(ともふみ)と凛香(りんか)のカップルと親しくなり、同棲中のふたりの家にほぼ毎週招かれることになり…。

「凛香さん、チョコレートケーキ作ってきたんだけど、冷蔵庫に入れときますね」

「わあ、嬉しい。あの濃厚なやつ?」

冷蔵庫を勝手に開けてチョコレートケーキと買ってきた飲み物を入れると、圧力鍋がシューと鳴って蒸気が勢いよく吹き出した。

「うわぁ、いい匂い」

「ヘヘっ、今日は塩角煮だよ。華ちゃん、今日も泊まってくよね?」

「え、はい。いつもお邪魔してすみません」

「華ちゃんってば、何遠慮してんのよ。ちょっと早いけど、もう飲んじゃう?ビールでいいよね」

 凛香さんに缶ビールを渡され、軽く缶を合わせて乾杯し、喉に流し込む。

「あれ?智文さんは?」

「出かけてるけど、ごはんの時間ぐらいには帰ってくると思う」

凛香さんと智文さんは、新入社員研修の教育係で、誰もが見惚れるほどの美男美女だ。

うちの会社の研修は2ヶ月と長く、研修中に彼氏ができて浮かれていたのも束の間、二股をかけられていたことが発覚した。

もうひとりの彼女に、私が人の彼氏に手を出したと言い触らされ、ハブにされて辛い思いをしていた時に、気を遣ってロールプレイの相手になってくれたり、飲みに連れて行ってくれたのが凛香さんと智文さんだった。

ふたりがつき合っていて、しかも同棲していると聞いて、驚くよりも納得した。

あまりにお似合いで、素敵すぎてため息がでる。

ふたりのアパートに招かれ、最初のうちは邪魔しちゃって申し訳ないような気がしていたけど、あまりに居心地がいいので、ほとんど毎週末のように入り浸っている。

ビール片手におしゃべりしながら、凛香さんとふたりで料理をしていると、智文さんが帰ってきた。

「智文さーん、お邪魔してます」

スーツ姿もかっこいいけど、休日の気取らない格好も素敵だ。

私をハブにした同期たちの中には、本気で智文さんを狙っていた子が何人もいたので、やっぱりざまあみろと思ってしまう。

「華ちゃんならいつでも歓迎。もうここに住めば?」

「そんな、ふたりの愛の巣に」

「いやいや、華ちゃんいない時は殺伐としてるんだ、この家」

ふたりとも、いつもすごく仲良さそうなのに、凛香さんも、智文さんとふたりきりの時はあまり話さないと言う。

「もうすぐできるから、先にシャワー浴びちゃって。華ちゃんは次ね」

「はいはいわかりました。もうさ、俺、凛香の言いなり」

いつものことなのに、やっぱりそうなるのかと思って、身体の奥がずくんと疼いてくる。

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