かつて奴隷だった男に下剋上されて、快楽地獄に堕とされた夜

・作

コールセンターで働いている一花(いちか)には、ホスト狂いだった過去がある。担当ホストの雅(みやび)に他の太客を優先されて腐っていたときに、雅のヘルプで学生ホストの晴人(はると)とばったり会って、自宅に連れ帰り、優しく純粋な晴人を奴隷のように扱っていたことを後悔している。そんなときに、同僚の小雪に合コンに誘われて…。

「一花、今週の金曜って空いてる?製薬会社の研究職との合コンなんだけど」

「空いてるよ」

パパ活の男と会う予定があったけど、ふたつ返事で話に乗った。

「一番いい男持ってかれちゃいそうだから、本当は一花誘いたくないんだけど、ひとり来られなくなっちゃって…」

そんなことを言われるほど美人ではないけれど、外見にはそれなりに気を遣っている。

でも、ネカフェで働いていた頃に比べて見違えるように綺麗になったのはむしろ、小雪の方だ。

「え、じゃあ推しがかぶらないように、トイレ会議ね」

「了解」

小雪に紹介されたコールセンターの仕事にも、どうにか慣れた。

風俗を辞め、昼職の生活を取り戻すことができたのは、小雪のおかげだ。

「小雪、晴人どうしてるか知ってる?」

散々ひどい扱いをしていた下っ端ホストの晴人のことが、未だに気になっている。

「え?晴人って誰」

「あの、ネカフェに住んでた大学生」

「誰のことかしら?…住み着いてる人っていっぱいいるし…」

「そっか」

昼休みももうすぐ終わるので、そろそろ席に戻らなければ。

午後もまた苦情対応かと思い、深いため息をひとつ吐いた。

*****

晴人に会ったのは1年ほど前のことだった。

私の担当ホストだった雅くんのヘルプとして私のテーブルにやってきた。

スーツも髪型もダサくて、ちっとも気が利かなくて、その上無口で、どう考えても晴人はホストに向いていなかった。

でも、私にグラスを渡す手が震えていたり、指先が触れただけで顔を赤くしてしまったりするところが可愛いかった。

なぜホストになったのかと聞くと、高額の学費を支払っていて、その上課題に時間を取られるので少しでも効率のいいバイトをしたかったのだと答えた。

その頃の私は、典型的なホス狂いの女だった。

友達に誘われて、ほんの好奇心でホストクラブに行き、雅くんに一目惚れしてしまい、雅くんに会いに行くために週末だけデリヘルのバイトを始め、雅くんをナンバーワンにするために昼職を辞めてフルタイムのデリヘル嬢になり、程なくしてもっと稼げるソープに転職した。

お金をたくさん使うほど、雅くんには大切にされ、大切にされるほど不安は大きくなって、更に大金を注ぎ込むという無限ループに嵌まっていた。

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